著者
堀 正敏 藤澤 正彦 堀口 和秀 道下 正貴 百渓 英一 田島 剛
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

我々は、消化管には5-HT4受容体(5-HT4R)を介する消化管局所での抗炎症シグナル機構が存在することを術後イレウスモデルを用いて発見した。そして、さらにその詳細なシグナル伝達系の解明を試みた。その結果、5-HT4Rの活性化を介した消化管壁内神経刺激は、神経終末からAChを放出する。AChは健常時には消化管平滑筋に作用し消化管運動亢進作用を発揮するが、消化管炎症時にはマクロファージ上のα7ニコチン様ACh受容体(α7nAChR)を活性し、マクロファージ浸潤を抑制するとともに、ムスカリンM2受容体(M2AChR)を介して好中球浸潤を抑制することが明らかになった。
著者
牧田 登之 藤澤 正彦 山根 哲也
出版者
山口県獣医学会
雑誌
山口獣医学雑誌 (ISSN:03889335)
巻号頁・発行日
no.28, pp.11-19, 2001-12

ラクダ(Camellus)にはひとこぶラクダ(C. dromedarius)とふたこぶラクダ(C. bactrianus)がいる.1),7),8),14)ラクダの解剖学的な研究は総体として他の家畜に較べて少ない.研究者や研究発表の場は勿論あるのだが,論文の形式が従来の研究報告のそれと異なっていることや,英文で書かれていないことや,文献検索のシステムにインプットされていないこともあるようで意外に文献をさがすことが難しい.それでもひとこぶラクダについては成書15)が一点あり十数篇の論文5,6,12)があるが,ふたこぶラクダについては断片的な報告があるのみである.2,3,4,9,10,13,16,17)しかしラクダが使役用,運搬用,競技用,食用,皮革など生活資材用として重要な家畜であることは周知のことであり,また炎熱の砂漠を乏しい飲料水で何日も旅をすることが出来る生理的適応力があることが,研究者にとって興味がつきないので,国際家畜解剖学会(WAVA)の国際委員会でもラクダの解剖用語の選定を検討しはじめている.先に山口大学農学部獣医学科はエジプトの留学生数名の引受けや,研究者の交流を通じて,ヒトコブラクダの解剖学的,組織学的,組織化学的研究をすすめていた5),6)が,フタコブラクダの解剖の機会は得られなかった.昨年(2000)東京大学大学院農学生命研究科と,中国内蒙古大学校が学術交流協定を結んだことを縁として,フフホト(Fuhuhoto)市にある大学構内の解剖場で解剖を行い,またシリンゴ草原地帯のラクダの群を観ることができた.本報告はその解剖学的記録のうち,とくにラクダに特有なコブについてまとめたものである.