著者
大塚 忠義 藤澤 陽介 佐藤 政洋
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.33-56, 2016-02-25 (Released:2019-05-17)
参考文献数
8

現在、アクチュアリー科目を設けている大学・大学院は増加している。しかしながら、我が国のアクチュアリー専門職団体と大学の関係は限られた大学への教員の派遣にとどまっており、欧米では資格試験に際し大学になんらかのクレジットを与えていることと比較すると著しく希薄である。 一方、アクチュアリー志望者のアクチュアリー教育を行う機関に対する評価には大きな差はないものの、大学が最も高い。今後大学で教育を受けたアクチュアリー志望者は増加していき、大学がアクチュアリー教育に関する主要な教育機関になっていくと予想される。 アクチュアリー志望者が得られる教育機会は限られており、アクチュアリー職への就職を希望する学生にとって、大学でのアクチュアリー関連講座は重要である。また、大学での質の高い講座は、学生のアクチュアリー学への興味の喚起につながり、アクチュアリー志望者の増加に寄与する。 今後、若年人口が減少していくなかで、会計士など他の専門職と競合しながら、アクチュアリーの増加ひいてはアクチュアリー学の発展のために、大学における教育機会の拡大は必要条件といえる。