- 著者
-
藤田 健弘
山子 茂
- 出版者
- 合成樹脂工業協会
- 雑誌
- ネットワークポリマー (ISSN:13420577)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.1, pp.4-13, 2017-01-10 (Released:2017-06-14)
- 参考文献数
- 81
リビングラジカル重合(LRP)はラジカル重合において分子量と分子量分布,およびブロック共重合体を通じてモノマー配列を制御する合成法である。1993 年のGeroges らの報告以来,新しい方法の開発と高分子材料への応用が広がってきている。本稿では,LRP の鍵である休止種の活性化に焦点を絞り,最近の二つの進歩について紹介する。一つは,光を用いる休止種の活性化である。これにより,生成ポリマーの構造の制御の向上や,触媒の低減化などが可能になってきている。もう一つは非共役モノマーのLRP である。非共役モノマーの成長末端ラジカルは共役モノマーの末端に比べて不安定であり,休止種の活性化が難しいため,その進展は限られていた。しかし,重合系をうまく選択することで,さまざまな非共役モノマーがLRP に利用できるようになってきている。これらの進展により,LRP の可能性がさらに広がってきている。