著者
平康 博章 瀬山 智博 和智 仲是 中村 達 笠井 浩司 藤谷 泰裕
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第28回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.227, 2017 (Released:2017-11-29)

高水分の食品廃棄物に適した廃棄物処理・利用技術として、アメリカミズアブ幼虫に廃棄物を摂食させて減量し、成長した幼虫を飼料利用する技術に注目した。本研究では各種の条件が幼虫による処理に及ぼす影響について実験室内でモデル廃棄物を使用して検討した。処理に適した温度範囲を明らかにしたほか、廃棄物の水分含量が60-90w/wの範囲では廃棄物の重量減少率に差がなく、80%w/w以上では幼虫の体重増加が促進されるという結果を得た。また一般的な食品廃棄物に含まれる程度の塩分は処理効率に影響を及ぼさないこと、脂肪分については処理効率を低下させる可能性があり注意を要することなどを示唆する結果を得た。
著者
平康 博章 瀬山 智博 和智 仲是 吉田 弦 笠井 浩司 藤谷 泰裕
出版者
地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所
雑誌
大阪府立環境農林水産総合研究所研究報告 (ISSN:21886040)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-5, 2017 (Released:2020-04-02)

アメリカミズアブの幼虫は様々な有機物を摂食して減量し,成長した幼虫は飼料利用が可能であるため,食品廃棄物処理への利用が期待される.本研究ではどのような種類の食品廃棄物が幼虫による処理に適しているかを検討した.野菜・果物・炭水化物・肉・魚の5カテゴリーの食品廃棄物を幼虫に処理させ重量減少や幼虫の成長を比較した.野菜・果物・炭水化物カテゴリーは肉・魚カテゴリーよりも廃棄物重量の減少率や幼虫回収重量・幼虫生存率が高く,幼虫による処理に適していることが示された.5カテゴリーを混合したモデル生ごみはそれらの値がさらに高かったため,家庭から排出される食品廃棄物は幼虫により効率よく処理可能であると考えられた.食品廃棄物に塩分もしくは脂肪分を添加して幼虫処理に対する影響を調べたところ,塩分含有率は1.0%w/w,粗脂肪含有率は5.0%w/wを越えると食品廃棄物の重量減少率が有意に低下した.アメリカミズアブ幼虫は食品廃棄物に含まれる程度の塩分に影響を受けないが,脂肪分の含有率に関しては注意が必要であると考えられた.本研究は環境省の環境研究総合推進費(1-1604)により実施された.また,試験供試虫のうちつくば市の野外集団由来の幼虫は(国研)国際農林水産業研究センターの中村 達主任研究員から提供頂いた.
著者
藤谷 泰
出版者
京都府立久御山高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

報告者はこれまでに高等学校で「DNA塩基配列を用いた植物の同定と進化の解明」という授業を実施してきた。この授業では、植物のDNAの抽出から遺伝子の増幅、その塩基配列の決定から分子系統樹の作成を主眼としつつ、植物の観察同定、実体顕微鏡下での外部形態の観察を加えた内容を実施してきた。この授業の中で最大の課題は、「PCR増幅をいかに成功させるか」であった。授業を円滑に実施し、生徒に大きな達成感を抱かせるには、何としても生徒がサンプルにした植物の塩基配列の解読に成功する必要がある。これまでの経験上、PCRに成功しなかったサンプルは、ターゲットにしている遺伝子を内部プライマーを用いて2分割してPCR増幅させるとうまくいく場合が多かった。塩基配列が短いほどPCRが成功する確率が飛躍的に増大するようだ。そこで本研究では、植物系統分類学で用いられる遺伝子の汎用内部プライマーを開発することを目的とした。(1) プライマー設計の対象とする遺伝子は、植物系統群類学で用いるrbcLをターゲットとした。設計はprimer3 plusを使用して行なった。(2) 最初に設計したのは、過去の取り組みの中でrbcLを2分割してシーケンスしてきたが、2分割のつなぎ合わせの部分が読み取りにくい場合が多かったので、その部分をカバーするプライマーの設計を行なった。(3) 次に、rbcLは1400塩基程度なのでこれを4~6分割して読み取りができるようにプライマーを設計した。(4) 過去の実験でPCR増幅に成功してきているDNA抽出サンプル16種類(シダ、裸子、被子植物)を用いて、設計したプライマーのPCR成功率をスクリーニングした。(5) 成功率の高いプライマーを用いて、これまでのプライマーではPCR増幅ができなかったサンプルのPCR増幅を行なった。以上の結果、すべての植物に対応できるプライマーの開発はできなかったが、設計したプライマーを用いてPCR増幅を数種類テストすれば、これまで解読できなかったサンプルについても、解読できることがわかった。今後、このプライマーを用いて標本庫等の古いサンプル等にも適用して、実用化を検討する予定である。