著者
蘇 珍伊
出版者
中部大学現代教育学部
雑誌
現代教育学部紀要 = Journal of College of Contemporary Education (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
no.6, pp.45-53, 2014-03

本研究の目的は、児童養護施設における被虐待児の問題行動と、それに対する保育士の支援について明らかにすることである。児童養護施設で働いている保育士3人を対象とするグループインタビュー調査を3回行い、得られたデータを用いて質的内容分析を行った。その結果、被虐待児の問題行動としては、「自己肯定感の低さ」、「無気力」、「言語発達の遅れ」、「暴言・暴力」、「攻撃性」、「自分が受けてきたことを他人にする」などが抽出された。また、保育士が行う被虐待児の問題行動への支援としては、「安定した生活を提供する」、「支援の統一を図る」、「できるだけ多くの社会経験をさせる」、「職員同士で協力し合う」、「家族・学校・児童相談所と連携しながら対応する」などが明らかになった。The purpose of this research is to clarify abnormal behaviors of abused children and supports for them in Child Care Institution. Three times of group interviews were conducted for 3 Child Care Workers working in Child Care Institution. And, qualitative analysis of contents was conducted by data obtained by those interviews. As the result, abnormal behaviors of abused children were reduction of self positivity, lethargy, language developmental disorder, violent language/violence, aggression, conducting of what they received to others. Also, for the supports of abused children's abnormal behaviors conducted by Child Care Worker, it was clarified to provide stable life, estimate unity of supports, create social experiences as many as possible, cooperate among the employees and respond by connecting to family/school/children consultation center.
著者
蘇 珍伊 岡田 進一 白澤 政和
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.124-135, 2007-02-28 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
3

介護職員の仕事の有能感に関連する要因について人間関係に焦点をあてて検討した.調査対象は,介護職員400人であり,自記式調査票を用いた郵送調査を待った.人間関係は,利用者との関係や職場内のソーシャルサポート,職場内の全体的な人間関係を設定し,仕事の有能感は,業務の達成,能力の発揮・成長,仕事上の予測・問題解決の領域でとらえた.重回帰分析の結果,介護職員の仕事の有能感の3つの領域すべてにおいて,利用者との肯定的関係との強い関連が示された.また,業務の達成は,職場内の全体的な人間関係がよいほど高く,能力の発揮・成長は,上司と同僚からのサポートを受けているほど高かった.さらに仕事上の予測.問題解決は,勤務年数が長く,上司からのサポートを受けているほど高かった.これらのことから,介護職員が利用者との良好な関係づくりや職員同士で支え合うサポート関係づくりができるように支援することが求められる.