著者
衛藤 由佳 丹保 亜希仁 国沢 卓之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.176-182, 2018-03-15 (Released:2018-04-07)

麻酔科医にとって抜管は毎日行う手技であるが,その方法は統一されておらず,抜管について詳細に述べた教科書や日本のガイドラインも存在しない.麻酔科標榜許可を得るまでは専門医とともに抜管するが,それ以後は一人で麻酔をする機会も増え,上級医に相談することも減ってくる.疑問をもったまま,あるいは疑問ももたずになんとなく抜管に臨んでいる後期研修医もいると考えられ,全国の後期研修医を対象に抜管について困っていること等についてWebアンケートをとった.本稿ではそのアンケート結果を踏まえ,若手麻酔科医が知りたい抜管についてのなぜを考察する.
著者
衛藤 由佳
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.125-129, 2021-04-15

本別冊の中心読者である後期研修医は,ある程度の経験を積み,自分の手技に少し自信がついてきた頃だろう。過去の『シェヘラザードたち』を読めばわかるとおり,一人でなんでもできるような気になって患者を危険にさらしてしまった,と反省している先輩は多い。筆者は,どちらかというと臆病者で,さらに慎重派の先輩に囲まれていたため,少しでも不安があれば「一人でやらない」「人を呼ぶ」を徹底していた。気道確保に関していえば,後期研修医であっても手術室外での挿管はさせてもらえないこともあった。しかし,そのおかげもあってか,輪状甲状膜切開などの緊急外科的気道確保に至ったことはなく,困難症例から先輩たちのテクニックを学んだり,さまざまな考え方を知ることもできた。 麻酔科の専門性といえば,気道管理にある。当直中に「麻酔科の先生! 挿管助けてください!」と呼ばれたことのある読者もいるだろう。今夜お話しするように,手術室外での気道確保は手術室内と異なる点が多く,一人で対応しようとすると危ない落とし穴がいくつもある。そこで,きたる麻酔科コールに備えて,気をつけるべき点を挙げていく。