著者
井上 牧雄 西 信介
出版者
応用森林学会
雑誌
森林応用研究 (ISSN:13429493)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.91-94, 2001-03-20

キツツキ類を利用して松くい虫の被害を防除するため,キツツキ類の営巣環境を調査するとともに,営巣用巣丸太とねぐら用底なし巣箱の利用状況を調べた。アオゲラの営巣場所は広葉樹生立木の樹幹部が多かったのに対して,アカゲラ,オオアカゲラおよびコゲラは枯死木や衰弱木の樹幹部や太枝も利用した。営巣用巣丸太は,アオゲラとコゲラが巣の入り口をつくったことから,営巣対象になることが確認できた。ただし,造巣は完成することなく終わった。ねぐら用底なし巣箱は,調査期間中にねぐらとして利用されたものは希で,利用した種もコゲラかカラ類であり,マツノマダラカミキリ幼虫の有力な捕食者であるアオゲラの利用は確認できなかった。