著者
石野 岳志 竹野 幸夫 西 康行 平川 勝洋
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.182-187, 2008 (Released:2009-10-15)
参考文献数
6

真菌の同定が困難であったために, 好酸球性鼻副鼻腔炎として診断されえたが, 細菌検査の工夫により真菌の同定が可能となり, 抗真菌薬が有効であったため, アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎 (AFRS) と診断した2症例について報告した。症例1, 2とも内視鏡下鼻内副鼻腔手術を施行したものの, 経過観察中に症状の再発が認められた。再発時, 院内の細菌検査では真菌感染を認めなかったものの, 培養方法の改善により真菌の同定が可能で, テルフェナビンの投与により病状の著明な改善が得られた。しかし2症例とも抗真菌薬投与終了後約3ヵ月後に再発が認められた。症例1は再発後に抗真菌薬投与を行ったものの病状の改善は不良であったが, 症例2は再度の抗真菌薬投与で寛解を得られることができた。抗真菌薬が有効であったことと上下気道の疾患の共通性から, 難治性副鼻腔炎のうちAFRSと真菌が同定されないため好酸球性鼻副鼻腔炎とされている症例の一部はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症 (ABPA) と発症機序が共通していることが考えられ, 抗真菌薬の変更などABPAの診断, 治療方法を改変して導入することでさらなる診断方法, 治療方法の改善が得られる可能性が考えられた。
著者
西 康行 平川 治男 佐々木 淳
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.37-41, 2013-01-20 (Released:2014-02-07)
参考文献数
11

うつ病の既往を持ち、精神症状の増悪を主症状に当院精神科入院となり、副甲状腺腺腫摘出術後、精神症状が改善した副甲状腺腺腫の 1 例を経験した。基礎疾患に精神疾患を有する場合、副甲状腺機能亢進による高 Ca 血症に伴う精神症状が、基礎疾患の増悪ととらえられ、診断、治療が遅れることがあり、精神症状を主症状とする副甲状腺機能亢進症があることを認識すべきと考えられた。また今回の症例において、副甲状腺腺腫摘出術により精神症状が改善しており、精神症状の改善に関して、副甲状腺腺腫摘出術が有効であると考えられた。