著者
石野 岳志
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.90-91, 2016 (Released:2016-04-28)
参考文献数
6
著者
竹本 浩太 竹野 幸夫 大谷 厚子 高原 大輔 西田 学 石野 岳志
出版者
JAPAN SOCIETY OF IMMUNOLOGY AND ALLERGOLOGY IN OTOLARYNGOLOGY
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.233-239, 2019 (Released:2019-12-27)
参考文献数
39

一酸化窒素(NO)は気道防御における恒常性の維持と同時に,炎症性メディエーターとしても機能している。ヒト鼻副鼻腔は生理的に重要なNO産生の場であると同時に,呼気中NO(FeNO)濃度の変化が副鼻腔炎における病態診断や治療効果判定に役立つ可能性を有している。また好酸球性気道炎症のバイオマーカーとしても近年注目を集めている。生体におけるNO産生は3種類のNO合成酵素(NOS)isoform活性やNOS基質であるL-arginineの利用環境に影響を受けている。近年,本邦では好酸球性副鼻腔炎(ECRS)の疫学的増加が報告されている。慢性副鼻腔炎においては含気腔におけるnasal NO濃度は低下するとの報告が大多数を占めている。また好酸球性副鼻腔炎においては非好酸球性と比較して下気道FeNOが高値であり,かつNOS2の発現が亢進している。一連の研究により,鼻副鼻腔におけるNO産生の主体を占めているNOS isoformは誘導型(NOS2)と内皮型(NOS3)であるとされており,両酵素ともジェノタイプとして遺伝子多型と炎症性疾患の病態との関連性が指摘されている。NOS2ではマイクロサテライトのひとつであるCCTTT反復数が多いほうがより高い転写活性を有することが知られている。気管支喘息患者においてCCTTT反復数がFeNOレベルと有意に正の相関を示していたという報告もある。今後鼻腔NOの機能的役割についてもこれら喘息患者と同様の解析が待ち望まれる。またNOS3遺伝子多型と鼻副鼻腔疾患との関連性についても,今後のさらなる展開が望まれる。
著者
石野 岳志 竹野 幸夫 西 康行 平川 勝洋
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.182-187, 2008 (Released:2009-10-15)
参考文献数
6

真菌の同定が困難であったために, 好酸球性鼻副鼻腔炎として診断されえたが, 細菌検査の工夫により真菌の同定が可能となり, 抗真菌薬が有効であったため, アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎 (AFRS) と診断した2症例について報告した。症例1, 2とも内視鏡下鼻内副鼻腔手術を施行したものの, 経過観察中に症状の再発が認められた。再発時, 院内の細菌検査では真菌感染を認めなかったものの, 培養方法の改善により真菌の同定が可能で, テルフェナビンの投与により病状の著明な改善が得られた。しかし2症例とも抗真菌薬投与終了後約3ヵ月後に再発が認められた。症例1は再発後に抗真菌薬投与を行ったものの病状の改善は不良であったが, 症例2は再度の抗真菌薬投与で寛解を得られることができた。抗真菌薬が有効であったことと上下気道の疾患の共通性から, 難治性副鼻腔炎のうちAFRSと真菌が同定されないため好酸球性鼻副鼻腔炎とされている症例の一部はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症 (ABPA) と発症機序が共通していることが考えられ, 抗真菌薬の変更などABPAの診断, 治療方法を改変して導入することでさらなる診断方法, 治療方法の改善が得られる可能性が考えられた。
著者
湯元 良子 田川 茉希 永井 純也 酒井 正彦 桑田 直治 木平 健治 石野 岳志 平川 勝洋 高野 幹久
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.951-955, 2008 (Released:2010-02-07)
参考文献数
19

Burow’s solution,a hospital preparation,exhibits antibacterial activity against methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) and other microorganisms that are commonly observed in chronic supprative otitis media.However,it takes several days to prepare Burow’s solution by the method commonly employed in Japan and it is difficult to ensure constant quality.With this in mind,we examined the pharmaceutical and pharmacological characteristics of Burow’s solution and developed a new prescription for it (Neo-Burow’s solution) having an aluminum acetate base.The new prescription takes only a few hours to prepare,is convenient,and ensures a solution of constant quality.In this study,we examined the clinical effects of Neo-Burow’s solution in external and internal otitis.We prepared NeoBurow’s solution in the Department of Pharmacy and used it for 13 patients in whom commercially available antibiotics had had no effect,in the Department of Otorhinolaryngology of Hiroshima University Hospital.Nine of the patients completely recovered after treatment with Neo-Burow’s solution,and it had some effect in 1 patient but was completely ineffective in the remaining 3 patients.No adverse reactions were observed.Our results indicated that Neo-Burow’s solution was effective and safe in the treatment of chronic suppurative otitis,even that accompanied by MRSA.We have received a lot of inquiries about Neo-Burow’s solution from pharmacies and other hospital facilities,most of them relating to its preparation and preservation.Our manuscript includes a summary of the inquiries and the answers given to them.
著者
服部 貴好 石橋 卓弥 高原 大輔 石野 岳志 竹野 幸夫
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.196-202, 2019 (Released:2019-07-20)
参考文献数
10

嗅覚障害診療ガイドラインが発刊され,嗅覚障害に対する概念や分類,原因,診断,治療に対する知識が広がりつつある。今回我々は,鼻腔所見から原因不明の嗅覚障害が疑われたものの,鼻腔CTにて上鼻甲介の内反による嗅裂閉鎖が原因であると診断できた気導性嗅覚障害例を経験した。症例1は24歳の女性。基礎疾患にアレルギー性鼻炎があり,CTにて上鼻甲介の内反による嗅裂閉鎖を認め,鼻処置にて同部位を開大すると嗅覚の改善が得られた。症例2は50歳の女性。好酸球性副鼻腔炎に対し他院にて手術を施行されていたが,術後の嗅覚は不安定で高度の変動を認めた。CTにて上鼻甲介の内反による嗅裂閉鎖を認め,嗅裂の状態で嗅覚の変動が認められた。症例3は17歳の男性。基礎疾患に慢性副鼻腔炎があり,近医耳鼻咽喉科を不定期受診していたが嗅覚は改善しなかった。CTにて上鼻甲介の内反による嗅裂閉鎖を認め,嗅裂の形態改善目的で中鼻甲介開窓術を行い嗅覚の改善が得られた。3症例はともに鼻腔CTで,上鼻甲介レベルの嗅裂の狭小化を認め,両側の上鼻甲介がそれぞれ鼻中隔側に向かって内反して閉塞した所見を認めた。本所見を基に同部位の開大を行ったところ全例において嗅覚の改善が得られたため,これら症例においては嗅裂の形態が病態形成の主要な要因であると考えられた。本病態においては鼻腔CTによる嗅裂形態の確認が重要であるとともに,恒久的な構造の改善のために内視鏡下鼻内副鼻腔手術による中鼻甲介開窓術が有効であると考えられた。