著者
西園マーハ 文
出版者
日本精神保健・予防学会
雑誌
予防精神医学 (ISSN:24334499)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.26-34, 2021 (Released:2022-12-01)
参考文献数
13

【目的】 コロナ禍が、摂食障害の発症や受診状況にどのように影響しているか考察する。また、既に発症し て長期化した事例では、コロナ禍による生活の変化がどのように症状に影響しているかを知る。 【対象と方法】 日本摂食障害協会で、2020 年4 月15 日から同5 月7 日の外出自粛期と同8 月25 日から9 月11 日の自 粛解除期の2 回、当事者対象の調査を実施し、それぞれ278 名、193名の結果を解析した。また、日本摂 食障害協会アンケートの自由記述や臨床事例からの考察を行った。 【結果】 神経性やせ症、神経性過食症のどちらの病型でも、コロナ禍では、外出自粛期、自粛解除期のいずれ の時期においても症状が悪化する傾向が見られた。食行動だけでなく、その背景の精神症状の悪化も 見られた。しかし、中にはコロナ禍による生活変化が症状の改善をもたらした事例も見られた。休校 期には思春期の神経性やせ症の新たな発症も見られたが、比較的早期に受診する事例も見られた。 【結論】 摂食障害は、初発時の受診抵抗の強さや、長期化例における症状改善の難しさが知られているが、コ ロナ禍の生活の変化は、発症形式や受診行動、症状の在り方にも様々な変化を起こしている。今後は 平常時との比較を行い、早期の対応に生かしていくことが重要である。
著者
菅原 彩子 小原 千郷 関口 敦 西園マーハ 文 鈴木 眞理
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.241-250, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
27

摂食障害患者の未受診や受診中断の理由や,受診していない患者の支援ニーズを把握することは喫緊の課題である.摂食障害患者の受診を促す要因の解明を目的にWeb調査を実施し,被援助志向性が受診行動に与える影響と,未受診者や受診中断者が病院受診の際に求める情報・支援を検討した.対象は患者264名(30.6±9.6歳),家族115名(49.5±10.8歳)であった.病型は神経性やせ症(AN)155名,神経性過食症(BN)98名,過食性障害(BED)45名,回復74名,不明7名であった.通院状況は未受診64名,受診中断143名,通院中169名,その他3名であった.患者の被援助志向性では通院状況や病型における有意差は認められなかった.未受診者では,近くの精神科・心療内科の情報へのニーズが高く,摂食障害の情報提供や専門治療へのニーズが低かった.以上より身近な医療機関の情報提供,スティグマの軽減のための啓蒙,医療体制構築の重要性が示唆された.
著者
小原 千郷 鈴木 (堀田) 眞理 西園マーハ 文 末松 弘行 鈴木 裕也 山岡 昌之 石川 俊男 生野 照子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.162-172, 2020 (Released:2020-03-01)
参考文献数
21

日本の一般女性における摂食障害の認識を明らかにすることを目的に, 病名の認知度と摂食障害に関する誤解や偏見に関するWEBアンケートを実施し, メディアからの情報入手が誤解・偏見に与える影響を検討した.回答者は4,107名の女性で, 平均年齢は27.0±7.4歳であった. 摂食障害を 「よく知っている」 が17.7%, 「ある程度知っている」 が43.5%, 「病名を聞いたことあるが, 症状などはよく知らない」 が27.8%, 「病名も聞いたことがない」 が6.5%であった. 病名の認知度は高い順から 「うつ病」 > 「拒食症」 ≒ 「過食症」 > 「子宮頸がん」 > 「摂食障害」 > 「統合失調症」 であった. 全般的にメディアからの情報入手が多いほうが摂食障害に対する誤解や偏見が少ない傾向にあったが, 摂食障害は 「ダイエットが一番の原因である」 「母親の育て方が原因である」 とする項目については, 特定のメディアからの情報入手があるほうが, そうであると考える人が多かった.
著者
西園マーハ文
雑誌
日本社会精神医学会誌
巻号頁・発行日
vol.4, pp.90-93, 1995
被引用文献数
1