- 著者
-
菅原 彩子
小原 千郷
関口 敦
西園マーハ 文
鈴木 眞理
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.3, pp.241-250, 2023 (Released:2023-05-01)
- 参考文献数
- 27
摂食障害患者の未受診や受診中断の理由や,受診していない患者の支援ニーズを把握することは喫緊の課題である.摂食障害患者の受診を促す要因の解明を目的にWeb調査を実施し,被援助志向性が受診行動に与える影響と,未受診者や受診中断者が病院受診の際に求める情報・支援を検討した.対象は患者264名(30.6±9.6歳),家族115名(49.5±10.8歳)であった.病型は神経性やせ症(AN)155名,神経性過食症(BN)98名,過食性障害(BED)45名,回復74名,不明7名であった.通院状況は未受診64名,受診中断143名,通院中169名,その他3名であった.患者の被援助志向性では通院状況や病型における有意差は認められなかった.未受診者では,近くの精神科・心療内科の情報へのニーズが高く,摂食障害の情報提供や専門治療へのニーズが低かった.以上より身近な医療機関の情報提供,スティグマの軽減のための啓蒙,医療体制構築の重要性が示唆された.