著者
澤田 雅彦 丸山 太郎 北澤 吉明 前田 憲男 岩崎 良二 鈴木 裕也
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.431-437, 1996-06-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
14
被引用文献数
1

症例は18歳男性, 元々肥満ぎみだった, 1993年春より口渇出現し清涼飲料水を1日に3L以上摂取していた. 10月初めより呼吸困難出現さらに不穏状態となり14日緊急入院BMIは44.8kg/m2と著しい肥満. 血糖1040mg/dl, ケトン体も著しい高値で, 著明な代謝性アシドーシスを呈していた. ICA, IAA, 抗GAD65抗体はいずれも陰性でHLAタイプはIDDM疾患抵抗性であった. インスリン投与や補液施行するも呼吸状態悪化し死亡した. 剖検所見では両側肺動脈本幹より広範な肺動脈血栓症を認め, これが直接死因と考えられた. 膵は全体にランゲルハンス島数の減少と膵島の萎縮を認めたが膵島炎は認めなかった. アルデヒドーフクシン染色では膵島B細胞の著明な脱落を認めた. 腎には軽度の糖尿病性腎症を認めた. いわゆる “ペットボトル症候群” の膵病理所見に関する報告はなく, 貴重な症例と思われた.
著者
柴田 昇 神田 和重 久田 俊記 磯部 克明 佐藤 学 清水 有威 清水 孝洋 杉本 貴宏 小林 智浩 犬塚 和子 金川 直晃 梶谷 泰之 小川 武志 中井 潤 岩佐 清明 小島 正嗣 鈴木 俊宏 鈴木 裕也 境 新太郎 藤村 朋史 宇都宮 裕子 橋本 寿文 御明 誠 小林 直樹 稲垣 泉貴 松本 勇輝 井上 諭 鈴木 良尚 何 東 本多 泰彦 武者 淳二 中川 道雄 本間 充祥 安彦 尚文 小柳 勝 吉原 正浩 井納 和美 野口 充宏 亀井 輝彦 加藤 洋介 財津 真吾 那須 弘明 有木 卓弥 Chibvongodze Hardwell 渡邉 光恭 丁 虹 大熊 直樹 山下 竜二 Liang Guirong Hemink Gertjan Moogat Farookh Trinh Cuong 東谷 政昭 Pham Tuan 金澤 一久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.15, pp.1-5, 2012-04-16

世界最小の19nmのデザインルールを用いて64Gb多値(2bit/cell)NANDフラッシュメモリを開発した。片側All-bit-Line S/A構成、1plane構成によりチップサイズは112.8mm^2。ビット線バイアスアクセラレーション及び"BC"State-First書込みアルゴリズムにより、書き込みパフォーマンスは15MB/sを実現。プログラムサスペンド機能とイレーズサスペンド機能により、リードレイテンシー時間は大幅に短縮。400Mb/s/pin 1.8Vの高速Toggle mode InterfaceをNANDフラッシュメモリとしては初めて搭載した。
著者
新屋 徳明 田中 翔太 山内 康太 後藤 圭 鈴木 裕也
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.524-531, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

今回,重症熱傷後に両下腿切断となり,不安・抑うつやPTSDの危険性が高まっている高齢患者を経験した.さらに,コロナ禍による面会制限によって,家族の不安感も増強していた.そのため,本事例と家族双方への精神的支援の目的として交換日記を開始した.その結果,本人の不安・抑うつの改善やPTSDの危険性は低下し,また家族の不安感の軽減にもつながっていた.その後は,リハビリに対して前向きに取り組むことが可能となり,良好な経過を辿り,最終的に自宅退院に至った.交換日記は,熱傷後の精神・心理的状態における精神的支援や,コロナ禍による面会制限がある中での情報共有の手段の一つとして有用な可能性が示唆された.
著者
鈴木 裕也
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.595-599, 1996-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21

神経性食欲不振症や神経性過食症の経過中にてんかん様の痙攣発作が観察されているが, その発生機序は不明のままであった。今回, 過食嘔吐後にてんかん大発作を来した神経性過食症(DSM-III-R)の1女性例を呈示した。発作時の血糖値は46mg/dlであった。過食後のIRI値が血糖値に比し高く, 嘔吐後に反応性低血糖が起こり, カテコールアミンやグルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの反応はみられないことが原因と考えられた。低血糖発作のあと翌朝まで続く遷延性の頭痛が観察された。本例は神経性過食症にみられる痙攣と過食嘔吐後の反応性低血糖との因果関係を示した最初の報告例である。
著者
鈴木 裕也
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.154-158, 2014-02-01 (Released:2017-08-01)

摂食障害は社会的要因に大きく関係した疾患であり,「社会文化結合症候群」というとらえ方がある.本症の患者数は統計的に把握しにくいが,EDNOSを含めると患者は増加の一途をたどっていると思われる.産業構造の変化による1980年代からの女性の社会参画増加による育児への影響や,競争社会によるストレスの多い排他的な,子どもたちにとって住みにくい社会へと変貌している状況から,今後も患者数は増加することが危倶される.「やせ礼讃社会」によるダイエットの流行と本症の増加にみられる関係は,裕福な経済状態という社会的環境変化を潜伏変数とした擬似相関であり,発症要因としての因果関係はないと考える.
著者
荒木 理沙 丸山 千寿子 鈴木 裕也 丸山 太郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.357-367, 2013 (Released:2013-07-09)
参考文献数
37

2型糖尿病(DM)患者は非糖尿病者に比べ血中ホモシステイン(Hcy)濃度が高いとされている.そこで40~70歳2型DM患者149名の血中Hcy,ビタミン濃度と食品摂取状況の関連を検討した.Hcy濃度は7.6±3.6(Mean±SD)nmol/mlと正常で,葉酸,ビタミンB12濃度は比較的高く男女差がみられたが,5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素遺伝子多型の関与は低かった.男性は女性より海藻・きのこ(p<0.001),野菜,果物(いずれもp<0.01),大豆・大豆製品,魚(いずれもp<0.05)の摂取頻度とこれらを組み合わせた日本食パターンスコア(p<0.001)が高く,このスコアは対象全体でlog Hcy濃度と負,log葉酸,ビタミンB12濃度と正の相関(いずれもp<0.01)を示した.2型DM患者の高Hcy血症予防において,これらの食品の摂取頻度を高めることの有用性が示唆された.
著者
小原 千郷 鈴木 (堀田) 眞理 西園マーハ 文 末松 弘行 鈴木 裕也 山岡 昌之 石川 俊男 生野 照子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.162-172, 2020 (Released:2020-03-01)
参考文献数
21

日本の一般女性における摂食障害の認識を明らかにすることを目的に, 病名の認知度と摂食障害に関する誤解や偏見に関するWEBアンケートを実施し, メディアからの情報入手が誤解・偏見に与える影響を検討した.回答者は4,107名の女性で, 平均年齢は27.0±7.4歳であった. 摂食障害を 「よく知っている」 が17.7%, 「ある程度知っている」 が43.5%, 「病名を聞いたことあるが, 症状などはよく知らない」 が27.8%, 「病名も聞いたことがない」 が6.5%であった. 病名の認知度は高い順から 「うつ病」 > 「拒食症」 ≒ 「過食症」 > 「子宮頸がん」 > 「摂食障害」 > 「統合失調症」 であった. 全般的にメディアからの情報入手が多いほうが摂食障害に対する誤解や偏見が少ない傾向にあったが, 摂食障害は 「ダイエットが一番の原因である」 「母親の育て方が原因である」 とする項目については, 特定のメディアからの情報入手があるほうが, そうであると考える人が多かった.
著者
佐々木 衛 東 宏一郎 小澤 裕理 森本 二郎 鈴木 裕也 丸山 太郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.187-191, 2011 (Released:2011-04-22)
参考文献数
8

症例は診断時58歳,男性.1988年,体重減少を主訴に近医を受診し糖尿病と診断された.当院に教育入院し,SU薬で良好なコントロールを得たが,1990年より血糖コントロール不良となり,1991年にインスリンを導入された.1990年の保存血清でGAD抗体が1.112(cut off値:0.02)と陽性であることが判明し,緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)と診断された.2007年にはインスリン分泌が枯渇状態となり,GAD抗体は14.9 U/mlと減少した.同年に大腸癌が発見され,手術時に患者,家族の承諾を得て膵生検を施行した.膵組織所見は,膵島面積が減少し,正常膵島はほとんど認められなかった.β細胞はほとんど消失し,明らかな膵島炎を認めず,1型糖尿病長期経過例の膵組織所見と類似していた.過去に報告されたGAD抗体陽性の膵組織所見と比較すると,高抗体価の場合には臨床的,組織学的に1型糖尿病と類似する点が多かった.
著者
緒方 政寿 鈴木 裕也 野口 裕貴 山守 健太 有働 大樹 栗原 和也 十時 浩二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-238_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】股関節は、下肢と体幹をつなぎとめ身体を安定させるのに重要な関節であり、その安定性に関与しているのが股関節外転筋である。臨床において股関節外転筋の筋力低下が生じると、起立動作や歩行、階段昇降などの動作が不安定となるため、筋の特異性からも荷重位での強化練習が必要と推測される。しかし、股関節外転筋強化に関するシステマティックレビューは筆者が知る限り、Paul Macadam (2015)の一遍のみで、動作速度を規定し比較した研究はない。そこで今回、CKC動作における動作速度を規定した股関節外転筋の活動を検討し、効果的な運動方法を明らかにする。【方法】対象は健常男性10例とした。被検筋は右側の大殿筋上部(G-max)、中殿筋(G-med)、大腿筋膜張筋(TFL)とした。北九州地区6病院の理学療法士に臨床で行う荷重位での股関節外転筋運動種目の事前調査を行い、上位種目の中からスクワット、段差昇降、ブリッジ、サイドステップ、フロントランジ、ラテラルステップアップダウンの6つを課題種目とした。各動作は1回を2秒で5回連続して施行し、動作時表面筋電図を計測した。解析には5回のうち間3回の計測データを用いた。筋電図解析方法は徒手筋力検査法の手技に従い、5秒間の最大随意等尺性収縮時における筋活動を測定し、0.5秒毎に移動平均を行い、最大値を最大収縮値(MVC)とした。各動作の筋活動を各筋に0.1秒毎の2乗平均平方根にて平滑化を行い、MVCで正規化(%MVC)した。3試行の最大値の平均を算出し、3筋における各動作種目別の最大筋活動を求めた。統計解析は、フリードマン検定を行い、多重比較検定にはSteel-Dwass検定を用いて各筋の%MVCを比較検討し、有意水準はP<0.05とした。【結果】G-maxの筋活動は、筋活動の高い順にフロントランジ65.9%、サイドステップ53.7%、ラテラルステップアップダウン42.2%、段差昇降35.3%、ブリッジ21.4%、スクワット14.7%で、フロントランジはスクワットとブリッジと比べ優位に高い筋活動を示した(p<0.05) 。G-medはサイドステップ76.6%、ラテラルステップアップダウン64.8%、フロントランジ59.1%、段差昇降49.4%、ブリッジ30.3%、スクワット19.0%で、サイドステップはスクワットとブリッジと比べ有意に高い筋活動を示した(p<0.05)。TFLはサイドステップ118.5%、ラテラルステップアップダウン56.8%、フロントランジ48.6%、段差昇降43.8%、ブリッジ43.1%スクワット10.7%で、サイドステップがラテラルステップアップダウン以外と比べ有意に筋活動が高かった(p<0.05)。【結論(考察も含む)】今回、事前調査の中から選定した6つのCKC動作ではG-maxの強化はフロントランジを、G-medとTFLの強化はサイドステップを、3筋総合ではサイドステップを第一選択とすることが推奨された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言を遵守し、当院の理事会及び、製鉄記念八幡病院の倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号17-11)。対象者には文書及び口頭で本研究の主旨及び目的を説明し、書面にて同意を得た。
著者
森口 晃一 鈴木 裕也 原口 和史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0300, 2006 (Released:2006-04-29)

【はじめに】 膝前十字靭帯(ACL)損傷の受傷機転は、非接触型損傷(非接触)が多く、受傷機転はジャンプ着地、ストップ動作、方向転換などが代表的である。非接触では詳細な受傷機転を把握することで、ACL損傷後の理学療法やACL損傷の予防において競技特性を踏まえたプログラム立案につながると思われる。そこで今回、当院でACL再建術を受けた患者の受傷機転を調査し、競技別の受傷機転の特徴について若干の知見を得たので報告する。【対象・方法】 平成16年4月から平成17年10月までに当院でACL再建術を受けた26例を対象とした。カルテと問診より受傷形態を非接触と接触型損傷(接触)に分け、非接触において競技、受傷機転、受傷側を調査した。【結果】 非接触20例、接触6例であった。非接触の競技別数は、バスケットボール(バスケ)8例、バレーボール(バレー)4例、バドミントン(バド)4例、サッカー2例、野球1例、陸上が1例であった。また非接触における受傷側数は左15例(バスケ7例、バレー4例、バド4例)、右5例(バスケ1例、サッカー2例、野球1例、陸上1例)であった。競技別で受傷数の多かったバスケ、バド、バレーの受傷機転は以下の通りであった。バスケは、走行速度を減速した際1例、右へ方向転換した際3例(フェイントで左に踏み込み即座に右に方向転換した際1例、急停止し右に方向転換した際1例、ドリブルの進路を右方向へ変えた際1例)、フェイントされて右へステップした際2例、右から左へジャンプし左下肢で着地した際1例、(以上受傷側左)、フェイントされて左へステップした際1例(以上受傷側右)。バドは、左後方のシャトルを打った際4例で受傷側は全て左。バレーは、スパイク着地時4例で受傷側は全て左。このうち1例は左に流れたトスを打った後の着地で、1例は通常よりもスパイク位置(上肢位置)が後方であった。【考察】 バスケ、バド、バレーでは左膝の損傷が多い傾向にあった。これは右利きが多く左下肢が軸足となることが多いためだと思われる。競技別の受傷機転の特徴は、バスケは特に右への方向転換やステップ時の左膝の損傷が多い傾向にあった。ACL損傷後の理学療法やACL損傷予防のポイントの1つとして、右方向への速い動きでの左下肢機能が重要であると考えられる。バドの受傷機転や受傷側の結果から、左後方への動きの際の左下肢機能がポイントと思われる。さらに左後方に飛んできたシャトルを打ち返すときに体幹を左方向へ傾斜させながら打ちにいったという患者のコメントもあり、体幹の制御能力も重要になると思われる。バレーについては、受傷機転としてスパイク着地時の損傷が多いことから、従来から言われている着地時にACL損傷危険肢位を避けることが大切であるが、空中での体幹制御能力が着地に影響を与えることも考えられるため、体幹機能も重要な要因となると思われる。今後症例数を増やし検討を深めたい。
著者
中村 大 神田 和重 小柳 勝 山村 俊雄 細野 浩司 吉原 正浩 三輪 達 加藤 洋介 Mak Alex Chan Siu Lung Tsai Frank Cernea Raul Le Binh 牧野 英一 平 隆志 大竹 博之 梶村 則文 藤村 進 竹内 義昭 伊東 幹彦 白川 政信 鈴木 裕也 奥川 雄紀 小島 正嗣 米谷 和英 有薗 尚倫 久田 俊記 宮本 晋示 野口 充宏 八重樫 利武 東谷 政昭 伊藤 文俊 亀井 輝彦 亀井 輝彦 丸山 徹 井納 和美 大島 成夫 大島 成夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.25-29, 2008-04-10
被引用文献数
10

43nm CMOSテクノロジを用いた16ギガビット4値NANDフラッシュメモリを開発した.66NANDと新規コントロールゲートドライバー回路を用いた構成とし、アレー上にパワーバス配線を配することでチップサイズ120mm^2を実現し、micro SDカードへ実装可能とした.デュアルステージドライバーを用いることで1.8V VCCQで25nsのサイクルタイムを実現した.
著者
山内 康太 島添 裕史 石村 博史 鈴木 裕也 熊谷 謙一 海塚 安郎 東 秀史
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.387-394, 2013-07-01 (Released:2013-08-09)
参考文献数
24
被引用文献数
1

【目的】早期離床は術後管理において重要な構成要素の1つであるが,起立性低血圧(orthostatic hypotension, OH)をきたした場合,理学療法の介入が遅れ早期離床の阻害因子となる。本研究では胃癌に対し待機的胃切除術を施行した症例を対象に,術後1日目離床時におけるOHの発症率および発症因子を調査した。【方法】2004年4月から2011年8月までに胃癌で待機的手術を施行し,周術期理学療法を実施した211例を対象とした。調査項目としては,OH発症の有無および術前,術中,術後の3期においてOHに影響したと想定されるすべての因子を診療録より抽出した。【結果】胃癌術後1日目におけるOHは78例(37.0%)であった。多重ロジスティック回帰分析において,OH発症に有意に影響した因子は虚血性心疾患の既往の有無〔odds ratio(OR)2.317,95%confidence interval(CI)1.118~4.805,P=0.024〕,術後血清アルブミン値(albumin, Alb)(OR 0.362,95%CI 0.180~0.725,P=0.004),術後WBC(OR 1.008,95%CI 1.000~1.017,P=0.043),術後平均動脈圧(mean arterial pressure, MAP)(OR 0.968,95%CI 0.947~0.991,P=0.006)であった。【結論】胃癌術後におけるOHは37.0%と高率であり,虚血性心疾患,術後Alb,術後WBC,術後MAPが関連していることが示唆された。