著者
雨森 正記 西垣 逸郎 荻野 賢二 山下 滋夫 馬場 道夫 小杉 圭右 繁田 幸男 上田 恵一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.547-551, 1989-07-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

ケトアシドーシスにて発症したインスリン依存型糖尿病 (以下IDDM) に, インスリン持続皮下注入療法 (以下CSII) を施行中, 色素性痒疹を合併した症例を経験したので報告する.症例. 44歳男性. 糖尿病性ケトアシドーシスにて入院第3病日より, CSIIを開始した. 第5病日頃より, 著明な掻痒を伴う痒疹様発疹が出現, 血糖コントロールの増悪に伴い発疹も増悪し, CSIIを中断せざるを得なかった. 血糖コントロールの改善に伴い顔面及び四肢の痒疹は軽快した. 皮膚所見及び皮膚生検より色素性痒疹と診断した. 色素性痒疹は本邦において第1例が報告されて以来, 主として本邦で症例報告がなされているが, IDDMと合併した症例は国内外を通じ, いまだ報告をみず稀な症例と考えられた.
著者
近藤 元治 池崎 稔 今西 仁 西垣 逸郎 細川 計明 増田 正典
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.519-524,539, 1976
被引用文献数
1

慢性肝炎および肝硬変患者につき, 低温で分離した血清とヘパリン血漿の補体価を検討し, 120名中8名に血清補体の著明な低下と血漿補体は正常であるという補体の解離現象を認めた.これは患者血清を37℃で分離の後0-11℃に移すと補体の低下がみられることから, 血液凝固に際して現れた因子が, おそらくproteolyticな作用で低温で補体のclassical pathwayを活性化したと考えられた.この現象は, Gjφnnaessの報告したVII因子のcold activationと類似した現象であるが, Trasylol, SBTIが補体の活性化を防止し得なかった点で多少異なるようである.またplasminの関与は, trans-AMCHAがほとんど効果を示さないことから否定的である.vitamin Eおよびprednisoloneに効果がみられたことは, その機序は不明であるが, 今後の研究の方向づけに大いに重要であると考えられた.