- 著者
-
西尾 泰
飯島 雄大
- 出版者
- 日本パーソナリティ心理学会
- 雑誌
- パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.1, pp.52-64, 2022-07-06 (Released:2022-07-06)
- 参考文献数
- 35
制御適合理論に基づけば,完全主義の2側面はそれぞれ適した課題遂行方略を求められた場合に課題成績を向上させると考えられる。本研究では,速さが求められる状況(つまり,熱望方略が求められる状況)でのみ完全主義的努力は速さを向上させ,正確さが求められる状況(つまり,警戒方略が求められる状況)でのみ完全主義的懸念は正確さを向上させるという2つの仮説を検証した。62名の大学生が一定の時間,点つなぎ課題に取り組んだ。実験参加者は,熱望方略群か警戒方略群のいずれかに割り当てられた。重回帰分析により,完全主義的努力は熱望方略群でのみ課題遂行の速さを高めることが示された。しかし,完全主義の2側面はいずれも,どちらの群でも課題遂行の正確さに影響しなかった。仮説は部分的に支持され,完全主義的努力は,速さを求められる状況では,効率的に課題を遂行し課題成績を向上させるように作用することが示された。