著者
西川 隼人 宮島 昌克
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.784-796, 2009 (Released:2009-08-20)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

本論文では計測震度と最大加速度のみ収集している自治体観測点を想定して,これらの地震動指標から地震動の周期特性を把握するために,実効加速度と最大加速度の比(最大加速度比)と地震動の卓越周期の関係を調べた.まず,最大加速度比と地震動スペクトルの関係を調べ,スペクトル形状と最大加速度比が関連していることを明らかにした. 続いて,地震観測記録からフーリエスペクトルと速度応答スペクトルのピーク周期を求め,最大加速度比との対応を調べたところ,最大加速度比の変化が震度フィルターの形状と概ね対応していることが分かった.最後に最大加速度比と実効加速度をパラメータとする周期1~2秒の速度応答スペクトル評価式を提案し,単一の地震動指標の場合に比べて高い精度で応答スペクトルを評価できることを明らかにした.
著者
西川 隼人 宮島 昌克
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4_94-4_103, 2012

本論文では著者らが簡便に地震動スペクトル特性を評価できる指標として提案している最大加速度比を2011年東北地方太平洋沖地震の観測記録を対象に求め、その適用性を調べるとともに、木造家屋応答を評価する際に利用できるかを検討した。震度5弱以上の地震観測記録を用いて、最大加速度比とフーリエスペクトルの振幅特性の関係を求めるとともに、周期0.5~1秒、1~2秒の地震動指標の推定への最大加速度比の有用性を調べた。その結果、周期1~2秒の地震動指標を推定するうえで最大加速度比が有効であることが明らかになった。続いて、性能等価加速度応答スペクトルによって木造家屋の応答変形角を評価し、最大加速度比との対応を調べたところ、降伏せん断力係数が0.3、0.5の場合、最大加速度比と応答変形角に良好な相関関係が見られた。