著者
西村 充 酒井 英徳 浅井 貴浩 北村 岩雄 村井 忠邦 池田 長康
出版者
富山大学
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1-8, 1998-02

Winter lightning in Hokuriku area called one shot lightning has different features from summer lightning. The thundercloud in winter is very low in its height and very wide in extend area and it has very large energy in comparison with that of the summer one. The object of this study is to examine the position and its extent area from acoustic thunder sound and is also to know numbers of branches within lightning discharge from the wave from of the acoustic signal. Two simple models for total discharge area and for the discharge detail figures are presented. The measured signal of thunder is compared with the results from the simple model.冬の日本海側でも特に,北陸地方で雪の激しく降っている時等に発生する自然現象に「プリおこし」とか「雪雷」と呼ばれる冬季特有の雷がある。最近は停電事故の大半が落雷に起因するので電力会社に於いては,高度情報化社会での信頼性を維持する上で,雷対策は極めて重要な課題である。特に,この冬季の雷は次のような特徴がある。すなわち,1 ) 空の視覚的な状況等からは全く発生が予測できない。2 ) 一発雷と呼ばれ昼夜関係なく突然落雷する。3 ) 落雷時のエネギーが非常に大きく夏の雷の数百倍にも達する。4 ) 夏に比べ雷雲の位置が非常に低い。5 ) 雷雲は地平方向に広い範囲で分布するなどである。このため現在も莫大な被害を被っている。現在,これらの雷放電の研究はカメラを使った光学的方法や,電磁波による測定等が行われてはいるが,発生位置や時間は未だに不明確である。しかも同時に複数の放電が発生することも多く,相当困難である。しかし,冬季雷における特徴のりとめを逆に利用した当研究は,雷の放電範囲とその形や場所等が簡単な装置で確実に特定できる可能性がある。また,そのデータから雷の大きさや放電の間欠性,地理的特徴等との関連性の解析を進めることで,巨大なエネルギーを放出する冬季雷の構造解明にも役立つものと考えている。この論文前半は雷鳴の測定波形の多点観測により,放電範囲を大局的に把援する方法の研究を説明し,後半では測定波形の形状より詳細な放電路の推定可能性について述べる。
著者
西村 充司
出版者
海南市立大野小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

日本の伝統,また和歌山の文化に関わる"和"体験カリキュラムとして,主として次の4つの教材を中心に取り組んだ。一つめは,国文科から百人一首に関わるカリキュラムで,百人一首のカルタを4セット準備し,競技カルタの漫画を導入に,小学校3・4・5・6年生で2~3時間ずつカルタ取りを行うことで,興味・関心を高められるよう試みた。発達段階に則し,3・4年生は厳選10首程度から,高学年でも15首以下から始めることで,抵抗感なく親しめた。二つめは,伝統音楽からは和太鼓に関わるカリキュラムで,まずは県内のプロ太鼓演奏者を招聘して全校児童向けにコンサートを開催した。通常の和太鼓に加え,締太鼓・担ぎ太鼓も演奏していただいたことで,未知の日本文化を体感できた。特に印象的な感想が,演奏者の腕や上半身の筋肉に関する内容で,演奏者の真剣さや日頃の鍛錬にまで気づくことができた。その後は高学年児童が締太鼓・和太鼓を実際に演奏にした。鑑賞があったからこそ簡単に見えて難しい和太鼓の世界を体験できた。次年度は三味線にも親しみたい。三つめは,茶道体験活動で,2年生児童が,おひな祭り茶会として抹茶の入れ方や出し方,いただき方,また畳の上の歩き方など,特に作法やマナーに留意できるよう指導していただいた。常に相手のことを優先して振る舞う「おもてなしの心」の大切さと,それが日本の伝統的な文化様式の根底に流れていることを身をもって学ぶことができた。四つめは1年生児童を対象とした和菓子作り体験で,味わいのみならず色合いや見た目の優しさ,温かさ,季節感などにもこだわる繊細な心と技のすばらしさを体験できた。そして,百人一首以外は,希望する保護者も巻き込んで展開できた。日本の伝統文化の奥深さ・繊細さ・温かさ等,子どもと共に体感できた喜びをたくさん聴くことができた。
著者
西村 充司
出版者
和歌山大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

平成20年度より生活科に,保護者参加による少人数・体験型カリキュラム『附属っ子ミュニケーション"和み"大作戦!』(通称『和みカリキュラム』)を開発,展開している。実践においては,茶道や華道に関する保護者の経験や専門性を生かすことで,担任だけでは実現できなかった日本の伝統文化にリンクする子どもたちの体験の場を広げることができた。そんな中,「校庭の草花を摘んでお花を生ける体験」では,自然そのものが教材となり,その特性や生活の場面を考える学びが生まれ,必要な分だけを摘んでお花飾りをするという,いわば自然への畏敬の念,また相手の心の和みを意識して工夫する子どもの姿が見られた。また,「日本の伝統文化・生活様式にふれる体験」では,普段の生活からは少し距離のあるおもてなし,手作り生活,花・茶道などの活動の継続により,子どもの意識の中では普段の生活との距離感が縮まり,家庭生活に活かす子どもの姿が見られた。さらには,「もっとおもてなしをしたい。」という,よい意味での『自己主張』『自己顕示』も芽生え,3学期には父兄や和みカリキュラムでお世話になった保護者の方々をお招きしてのお茶会を1・2年生全学級で開催することができ,子どもたち全員が自分で抹茶を点てることができた。できる自分を見てもらいたい・認めてもらいたい,そのために,おもてなしの対象に応じ,よりよいおもてなしの方法を主体的に考える,生活科としてのスキルを身につける学びの質の高まりも生まれた。これらは30人という少人数の学級規模だからこそ実現できたと実感している。もちろん結果として,日本の伝統文化への親しみと愛着が増し,子どもたちの日常生活の立ち居振る舞いにはこれまで以上の落ち着きを感じるし,挨拶や基本的な生活習慣・マナーの面においても向上が見られるようになった。