著者
豊倉 穣 菅原 敬 林 智美 西村 葉子 村山 理恵
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.306-311, 2009-05-18 (Released:2009-06-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2

近年考案された注意障害の行動評価尺度 (BAAD,Behavioral Assessment of Attentional Disturbance) は,原則的に作業療法施行中の場面を作業療法士 (OT) が観察してスコア化する.今回,家庭での家族による評価を実施し,注意障害の評価に有用か検討した.脳障害者 (脳卒中,脳外傷など) 53 名を対象とした.OT,家族による評価合計点 (最高18 点) はほぼ一致し,級内相関係数も0.89と高値を示した.項目別に検討すると,6 個中5 項目では64 %以上で両検者のスコアが完全に一致したが,1 項目のみ43 %に留まった.以上より家庭での評価も「注意」障害の検出に有用と考えられた.
著者
竹内 良夫 西村 葉子 吉河 達祐 栗山 純一 木村 義民 雑賀 寿和
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.387-393, 1985
被引用文献数
9

小青竜湯は8種類の生薬から種成される漢方方剤で, アレルギー疾患の予防または治療に適用されている.しかし本剤の薬理作用および効果については報告が少ない.本研究はアレルギー抑制機作を知るために既存の経口抗アレルギー剤であるtranilastおよびketotifenと比較することにより本剤の薬理作用の解析を試みることを目的とし, 以下の成績をえた.1.ヒトの常用量から換算された量をモルモットに投与し, 2または3時間後にPCAに及ぼす影響を観察した結果, 3剤とも同程度の抑制傾向を示した.2.10日間連続投与後1または3日の中止後に全身性アナフィラキシーを惹起した.その結果, いずれの薬剤も投与によりショック症状の発現および血中ヒスタミンの増加は認められなかった.3.ヒスタミン, セロトニン, アセチルコリンの皮内注射による皮膚反応に対する各薬剤の拮抗作用は各々異なり, 小青竜湯はヒスタミン, セロトニン, アセチルコリンによる皮膚反応をすべて抑制したが, tranilastはヒスタミンによる皮膚反応を抑制せず, ketotifenはアセチルコリンおよびセロトニンによる皮膚反応を抑制しなかった.以上の結果から, 小青竜湯はtranilastおよびketotifenと薬理作用は異なるが同程度の抗アレルギー効果を有することが示唆された.