著者
斎藤 二郎 西林 清茂 細谷 芳己
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, 1976-12-15

軟弱地盤改良工事にPVCドレーン工法を適用した際の施工実績を主として紹介した。この工事は施工面積約46,000m^2で, 層厚3〜4mの腐植土層およびその下の層厚2〜3mのシルト質粘性土が改良の対象であった。腐植土の含水比は600〜850%, 自然間ゲキ比16〜22と大きく, 圧縮指数も8〜13と高圧縮性を示しており, シルト質粘性土についても含水比70〜130%, 自然間ゲキ比2〜4,圧縮指数0.3〜2.5と通常のチュウ積粘土と同程度となっている。施工に際してまずPVCドレーン打設機のトラフィカビリティー確保とサンドマット造成のためにファゴット工法を適用し, サンドマットとして山砂を50cm厚に敷均したのち, PVCドレーンを1.2mの正方形配置で打設し盛土を2段に分けて行なった。PVCドレーンの打設深さは4.5〜6mで, 施工実日数当り513本の実績であった。改良効果は深さ2m以深において著しく, 改良前のコーン指数約1.5kg/cm^2から約2kg/cm^2増大しており, 含水比では平均で400%前後低下している。また一軸圧縮強さについては改良前の0.05〜0.2kg/cm^2から0.25〜0.5kg/cm^2へと増加した。
著者
斎藤 二郎 西林 清茂 細谷 芳巳
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 1980

全国的な規模で広範に分布している有機質土を土木工事で取り扱うケースが増加しているが, 現行の有機物含有量試験法は土の種類に対する適性, 測定操作上の難易などに一長一短があり, 標準的な測定法が確立されているとはいいがたい。この点を考慮して筆者らは有機物含有量測定法のうちの強熱減量法を取り上げ, 特にその測定法に影響を及ぼすと考えられる燃焼温度, 燃焼時間, 試料重量の3つの要因に関して, 各要因が強熱減量値に与える影響を調査した。実験に使用した試料として有機物含有量が20%代, 40%代, 50%代, 70%代の4種類の土を選び, 上記各要因についても各々4種類の値を選んで組合わせによる実験を行った。試料の作成方法は土質工学会基準の強熱減量法の方法に準じ, 燃焼装置として電気マッフル炉を使用した。実験の結果, 有機物含有量に最も大きく影響する要因は燃焼温度であることが判明したが, 結果を総合すると上記3要因の組合わせでは600℃×4時間×2.0gが最適であると判断された。
著者
西林 清茂 藤原 紀夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 1983-12-15

この稿では解析例として, 某地下鉄工事における有限要素解析, 大阪の地下鉄工事における被圧水圧の測定とその処置, 岐阜市十六銀行ビル基礎工事に関する電気アナログ法について述べている。まず有限要素解析においては, 地盤を5つのケースに分けて解析し, 得られた結果がボイリングを起こす限界になったので, 排水工法を実施している。次に大阪の地下鉄工事の場合には, 井戸が滞水層を貫通している場合の揚水量計算式を用い, その結果と照らし合わせてウェルポイントを打設して, 被圧水圧と排水量の経日変化図を示している。電気アナログ法に関しては, 筆者らがよく行う方法で, ここでは, 施工場所が大量の湧水が懸念されるために, 有効かつ経済的な止水壁長を計画する目的で行った解析と実際の工事結果について述べている。ここで, 解析値は実測値より若干小さめの値となっているが, よく一致している。また滞水層厚に関して, 電気アナログ法を使い二次元解析を行い, 流量と滞水層厚の関係を掘削幅, 掘削深さを考慮して, グラフに表している。