- 著者
-
西田 奈央
- 出版者
- 公益社団法人 日本油化学会
- 雑誌
- オレオサイエンス (ISSN:13458949)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.2, pp.69-75, 2021 (Released:2021-02-04)
- 参考文献数
- 50
脂質二重膜で包まれた小胞であるエクソソームは,細胞同士の比較的新しい情報伝達ツールとして注目を集めるようになった。エクソソームに含まれる脂質成分は,エクソソームの中身と外界の境界線を形作るのに必要不可欠であるとともに,最近の研究ではエクソソームの形成過程や取り込み,細胞間シグナル伝達にも関わることが分かってきた。エクソソームに含まれる脂質成分は,基本的に細胞膜と似ているが一部組成が異なり,目的をもって選択的にエクソソームに搭載されていると考えられる。しかし,脂質分析やメカニズムの解明には技術的な課題も多く,理解も進んでいない。本総説では,エクソソームに含まれる脂質成分とその機能について,現在の知見と課題をまとめて紹介する。