著者
西田 祥啓 多賀 允俊 高橋 喜統 政氏 藤玄
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2022-015, (Released:2022-05-25)
参考文献数
20

薬学生教育において集中治療領域を学ぶ重要性は認識されているが,実際に集中治療領域の学生実習を実施している施設は多くはない.集中治療領域の実習内容は,集中治療を要する患者の薬学的管理に加えて集中治療室退室後の患者に対する薬学的管理も含むため,全ての薬学生が学ぶべきである.当院では集中治療領域の実習を講義とSGDを交えて2日間実施している.当院での実習は特に敗血症に対する薬物治療と臓器系統別評価を学ぶことに寄与し,実習生に集中治療領域の薬剤師業務への興味を与える可能性がある.また,集中治療領域における薬剤師業務の必要性は実習経験の有無に関わらず薬学生から認識されており,学習ニーズも高いため,学習機会の提供が望まれる.今後は学生実習内容の更なる充実と集中治療に関する卒後教育プログラムの継続により,重症患者に向き合える薬剤師育成を図っていく.
著者
西田 祥啓 多賀 允俊 河合 泰宏 野田 洋子 中川 佳子 飯沼 由嗣 丹羽 修
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.115-121, 2019-03-25 (Released:2019-09-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

年齢層別化アンチバイオグラムの意義について検討を行った.2015年4月からの1年間に当院にて分離頻度が高かった黄色ブドウ球菌,肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,大腸菌,緑膿菌を対象に,抗菌薬感性率を小児,非高齢成人,高齢成人で比較した.グラム陽性菌では,成人由来株との比較において小児由来のメチシリン感性黄色ブドウ球菌ではマクロライド低感受性,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌ではレボフロキサシン(LVFX)およびミノサイクリンの高感受性が示され,肺炎球菌では髄膜炎基準で小児由来株のペニシリン低感受性が示された.非高齢成人と高齢成人では差はみられなかった.グラム陰性菌では,小児および高齢成人が非高齢成人よりも比較的感受性が低かった.特に大腸菌ではアンピシリン/スルバクタム,セフェム系抗菌薬,LVFX,ST合剤,ホスホマイシンの多系統の低感受性が認められた.臨床上問題となる耐性菌の分離率は非高齢成人が最も低く,小児および高齢成人における初期治療において注意が必要と考えられた.年齢層別化アンチバイオグラムの作成は特に小児,高齢成人の感染症の初期治療において重要と考えられた.