著者
藤井 健太郎 秋光 信佳 藤井 紳一郎 加藤 大 月本 光俊 成田 あゆみ 横谷 明徳 丹羽 修 小島 周二
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

リボ核酸の一種であるアデノシン三リン酸(ATP)は、生体エネルギー供与物質として様々な生化学反応へエネルギーを供与している。また同時に、遺伝情報の仲介物質であるメッセンジャーRNAを合成するための基質として、さらには細胞間情報伝達物質としても働く。本研究では、放射光軟X線により、ATPに生じた放射線障害が、ATPの持つ生物学作用にどのように関わっているかに注目して、その生物学的効果への寄与を解析することを試みた。そして、ATP分子の構造変化はガン細胞の放射線感受性に変化を生じさせている可能性を示唆する結果を得た。
著者
林 勝義 丹羽 修
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-12, 2002-01-05
参考文献数
61
被引用文献数
5

脳内,神経細胞計測用の電気化学センサーシステムについて概説した.リアルタイムモニタリングを目的とした微小電極型,オンライン型,そして,チップ上に検出器や電気泳動を集積したマイクロ化学分析システム(μ-TAS)について,生体・細胞測定に適用されたデバイスを中心に,電気化学検出器と組み合わされた電気泳動チップの現在の動向についても紹介した.微小電極型センサーでは,電極材料や測定手法の開発により,オンライン型センサーでは,酵素カラムや電気化学反応器と検出器との組み合わせにより,高感度,高選択測定が実現されている.μ-TASでは,センサーシステムの微小化によってよりリアルタイムな生体・細胞測定実現の可能性が示された.シナプスレベルようなの速い応答を高い位置分解能での測定が可能なセンサーが必要とされており,今後その実現が期待される.
著者
西田 祥啓 多賀 允俊 河合 泰宏 野田 洋子 中川 佳子 飯沼 由嗣 丹羽 修
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.115-121, 2019-03-25 (Released:2019-09-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

年齢層別化アンチバイオグラムの意義について検討を行った.2015年4月からの1年間に当院にて分離頻度が高かった黄色ブドウ球菌,肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,大腸菌,緑膿菌を対象に,抗菌薬感性率を小児,非高齢成人,高齢成人で比較した.グラム陽性菌では,成人由来株との比較において小児由来のメチシリン感性黄色ブドウ球菌ではマクロライド低感受性,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌ではレボフロキサシン(LVFX)およびミノサイクリンの高感受性が示され,肺炎球菌では髄膜炎基準で小児由来株のペニシリン低感受性が示された.非高齢成人と高齢成人では差はみられなかった.グラム陰性菌では,小児および高齢成人が非高齢成人よりも比較的感受性が低かった.特に大腸菌ではアンピシリン/スルバクタム,セフェム系抗菌薬,LVFX,ST合剤,ホスホマイシンの多系統の低感受性が認められた.臨床上問題となる耐性菌の分離率は非高齢成人が最も低く,小児および高齢成人における初期治療において注意が必要と考えられた.年齢層別化アンチバイオグラムの作成は特に小児,高齢成人の感染症の初期治療において重要と考えられた.