著者
西郷 貴洋 小松崎 俊作 堀井 秀之
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.87-98, 2010 (Released:2011-09-14)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

2006年から2007年にかけて高知県東洋町で発生した高レベル放射性廃棄物(HLW)処分地候補の文献調査への応募を巡る紛争においては,住民間で激しい対立が起きて冷静な議論ができず,町内に禍根を残した.本研究では今後の処分地選定においても懸念される対立の緩和に資する教訓を得るため,東洋町での紛争の政治過程分析・対立要因の抽出・解決策の導出・解決策のシナリオ分析を行った.その結果,公募に基づく当時のHLW処分地選定制度に起因し,住民の対立感情や住民間の禍根といった問題の解決を困難にしている要因の一つとして,「自ら応募し,交付金を受け取るという構図」の存在により,金目当ての応募であるという批判に反論できないという要因を抽出した.