著者
西野 由記 江上 いすず 後藤 千穂 野路 公子 石井 貴子 森 みどり 小倉 れい
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.39-47, 2004-04-01

ライフスタイルの多様化,社会環境の変化に伴ない食行動や生活習慣が変化してきている.今回その中で,青年期における食行動や生活習慣こどのような変化が起こっているかを知るために,給食管理実習で作成した昼食を喫食した学生に対しアンケート調査を実施し,検討を行った.また給食管理実習で作られた昼食が喫食者の食行動や生活習慣にどのような教育効果を与えたのかを検討した.結果は,男女間では,給食管理実習で作成した献立を家で作りたいと思う項目においては男子より女子が高い数値(男子VS女子;平均値2.48 VS 2.89)となり,便通の項目においては女子より男子が高い数値(2.84 VS 2.25)となった.このことは男女の意識や生活スタイルからの違いの表れだと思われる.学年別においては,朝食の欠食や昨日の運動量の項目において,2年次生の方が1年次生より低い数値(1年次生VS 2年次生;平均値3.12 VS 2.81, 2.38 VS 2.12)となった.学科別では,全体的に栄養士コースの学生よりも生活科学科生の平均値が低く,生活科学科生に対する栄養教育のありかたを再検判する必要性を感じた.料理様式別では,全てにおいて和風料理が良い結果を出しており,昨今のヘルシー志向が伺える.女子学生全体の嗜好,生活習慣の質問項目の相関行列では,本学の給食を摂取するようになって食生活が変わったことが伺え,学生に対し給食管理実習の食事を通じて食行動,生活晋直の改善を促すことが出来だのではないかと思われた.このことより給食管理実習における喫食者に対する教育効果があることが示唆された.
著者
市川 和昭 西野 由記 谷口 奈美
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.103-110, 2003-04-01

モノアシルグリセロール(MG)は,ジアシルグリセロール(DG)と共に食品用乳化剤や品質改良剤として広く使われている.一方,荏の油は構成脂肪酸としてα-リノレン酸が豊富な食用油で,特殊な生理作用が注目されている.本研究では,リパーゼ触媒を用いて荏の油などからグリセロリシスによりMGやDGを合成し,製パン時にそれらを添加してパンの老化を遅延する等の物性向上機能を付与することができないかを検討した.その結果MG,DGの生成量が最大となる合成条件を検討して,水の添加量がMG,DGの収量およびFAの生成量に著しく影響すること,また荏の油のグリセロリシスに対する活性は,位置特異性のあるRhizopus sp.(リパーゼF-AP-15,食品添加物酵素製剤)がよいことがわかった.得られた生成物を添加してパンを製造して食パンの品質(比容積,硬さ,官能評価)への影響を調査した.ショートニング+荏の油GL,ショートニング+オレイン酸MG,あるいはショートニング+DG (健康エコナ)を製パン用油脂として用いることにより,焙焼直後はしなやかで,2d放置後あまりかたくならない好ましい物性のパンを得ることができた.荏の油や荏の油のグリセロリシス生成物(荏の油GLと略記)を添加した場合,パンにわずかな荏の油臭がしたが,酸化防止剤としてカテキンを添加したパンでは,これらの臭気はなくなっていてパンの好ましい香りがした.