著者
角田 幸太郎
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.79-94, 2006-03-09

先進諸国の産業は,第2次産業から第3次産業へとその中心が移行してきた。企業の競争力や価値を生み出す源泉として,「目に見える」資源だけではなく, 「目に見えざる」資源が重要な役割を果たしている。これらは事実上「無形資産」であるが,会計上は資産として認識されるに至っていない。現行の企業会計制度における資産の認識は「目に見える」資源,すなわち有形資産の認識がその中心である。「目に見えざる」資源の資産認識,すなわち無形資産の認識は価値測定が比較的容易な一部のものの財務諸表上への計上に留まっており,現行の企業会計のもたらす会計情報は,必ずしも企業の実態に即したものとはなっていない。無形資産としての計上の可能性がある資源のうち,人的資源の重要性は既に経営上も認められている。しかしながら,日本をはじめとする各国の現行の会計基準では,人的資源は有形資産としても無形資産としても認識することとはなっていない。これに対して,現代の英国において,人的資源に関わって支出した金額を実務上,資産計上している事例がある。本稿では,このような会計実務を検証することを通じて,人的資源の会計的認識の方向性を探っていく。
著者
角田 幸太郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.54, pp.137-148, 2013-02

人的資源のマネジメントがより重要性をもつ日英プロサッカークラブを研究対象として、人的資源としての選手やチームスタッフに関する価値評価の現状についてインタビュー調査を実施した。また、価値評価情報の一種として公表されている報酬額(会計上の人件費)が、クラブの営業収入や営業利益、チームの順位や勝ち点などの財務的・非財務的な組織業績とどのような関係を有しているのか、実証的検証を行なった。
著者
角田 幸太郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.179-188, 2014-02

著者の名字の角は中のたて棒が突き抜ける人的資源会計、無形資産会計、intangible、イングランドプレミアリーグ、移籍金1990年代以降の英国において、人的資源に関わって支出した金額を実務上、資産計上している稀有な事例がある。英国プロサッカークラブでは、他のクラブから選手を引き抜く際に支出した金額を無形固定資産として貸借対照表に計上しているのである。この事例については複数の文献で紹介されているが、その経緯は明らかではない。そこで本稿では、先行研究や当時の実務を検証することを通じて、起源や目的を明らかとすることを目的とする。