著者
安松 みゆき
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.58, pp.17-26, 2017-02

本稿では、1939年の「伯林日本古美術展」における日本美術受容のひとつの特異な事例として、同展覧会を熱心に鑑賞する姿が写真に残されたナチスの親衛隊長ハインリヒ・ヒムラーに注目して、かれの東洋および日本美術への意識とその背景を探った。その結果、ヒムラーの日本美術受容は、日独関係強化を目指す政治・外交的な意図とも、また浮世絵・工芸に偏った日本美術受容を改めようとする学術的な意図とも異なり、ナチスのイデオロギーが、自らの都合に合わせて日本や東洋の文化に焦点を当てたものと総括し得た。

16 0 0 0 IR 大分は戦犯県か

著者
辻野 功
出版者
別府大学
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.A115-A127, 2007-02-15

挿図あり
著者
日和 恭世
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.57, pp.57-66, 2016-02

ソーシャルワークの国際定義において「ソーシャルワークは専門職である」と謳われているものの,わが国のソーシャルワーカーは自分自身の職業を専門職であると捉えることにあまり自信をもっていないという現状がある.そこで,本稿では,専門職の概念に関する先行研究をレビューすることによって,改めて「専門職とは何か」を問い直し,専門職としてのソーシャルワークの捉え方について若干の考察を試みた.
著者
段上 達雄
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.11-22, 2014-02

風流笠看聞御記鵲鉾京都祇園祭傘鉾風流笠(傘)という言葉は『看聞御記』が初出で、傘鉾という言葉は京都祇園祭の鵲鉾に由来する。鉾という言葉が加わることにより、傘は依代としての性格が強まり、綾傘鉾や四条傘鉾を生みだす。そして、京都祇園祭は全国の都市祭礼に大きな影響を与えていく。
著者
後藤 重巳
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-12, 1997-01

岡藩と情報収集の機能 幕末江戸・京都事情の概要 豊後筋への京都情報 京都情報の内容と情報源 後藤碩田・龍之進・石友と伊藤樵渓 龍之進の情報源 「別系」情報
著者
林 眞帆
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.87-95, 2012-02

本稿は、日本生命財団高齢社会実践的研究助成を受けて実施した研究の成果に依拠し、滋養的環境の中で生きる認知症高齢者の世界について、C.ジャーメインの生態学的視座をもとに「時間・空間」の側面から考察した。結果として、認知症高齢者の生きる世界は、過去・現在の時空間を往還しながら生を育む本人とそれを支持する滋養的環境の存在によって形成されていることがわかった。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.52, pp.129-139, 2011-02

研究ノート関ヶ原の戦いに関するこれまでの研究史では、徳川家康の権力形成過程について過大視する傾向がある一方で、石田三成・毛利輝元の権力形成については、常に劣勢に立たされていた、とする見方が顕著であるが、本稿では、こうした点を再検討し、史料的論拠に基づいて、慶長5年7月〜同年9月においては、石田・毛利連合政権が形成されていた、という新しい見解を提示した。
著者
林 眞帆
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.56, pp.65-74, 2015-02

本稿では、質的研究の特性と課題を整理することを通じて、質的研究の意味を再検討した。なかでも「価値」と「実践」と「理論」を結ぶ事例研究法を取り上げ、ソーシャルワーク研究における意義について論究した。
著者
安松 みゆき
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.62, pp.1-13, 2021-02

新制大学創立70周年記念特集号ナチス時代の「体制派美術」は、ヒトラーの美術観の下に写実性を重視した独自の保守的傾向の美術と見做される。だがいかなる美術的背景から生じたものかは十分に検証されていない。本稿では特徴的な女性の裸体画を大ドイツ美術展に出展した画家達の経歴を洗い出す作業によって美術教育の場や創作の地域性を検討した。コロナ禍で現地調査ができず、作品分析等は今後の課題とし、公開されたデータベースと文献による検討を試みた。
著者
東 真千子 田島 松二
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.52, pp.11-19, 2011-02

「A にB を供給する、提供する」等の意味内容を表わす'provide A with B'型構文とその類型の実態について、アメリカの週刊誌Time コーパスの10年分(1990−1999)を第一次資料として観察した。provide A with B 型、provide B for A 型、provide B to A 型、provide A B 型の4つの形式のうち、使用頻度は、provide A with B 型、provide B for A 型が最も高く、その後にprovide B to A 型がつづく。ただし3型とも頻度はそれ程変わらない。非正用法と目されることもある二重目的語型のprovide A B 型は使用頻度が極めて低いことがわかった。またAの位置に人がくるか「人以外」がくるかで見てみると、provide A B 型はA の位置に「人」がくる場合に限って使われ、その他の型では、A の位置に「人」がくる割合が最も高いのはprovide A with B 型、ついでprovide B for A 型で、一番低いのはprovide B to A 型であった。しかし、A の位置にくる語句が長くなるほど、provide B for A 型やprovide B to A 型をとる傾向があることもわかった。
著者
角田 幸太郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.54, pp.137-148, 2013-02

人的資源のマネジメントがより重要性をもつ日英プロサッカークラブを研究対象として、人的資源としての選手やチームスタッフに関する価値評価の現状についてインタビュー調査を実施した。また、価値評価情報の一種として公表されている報酬額(会計上の人件費)が、クラブの営業収入や営業利益、チームの順位や勝ち点などの財務的・非財務的な組織業績とどのような関係を有しているのか、実証的検証を行なった。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.56, pp.53-63, 2015-02

慶長3年8月の豊臣秀吉の死去以降、五大老(徳川家康・前田利家〔利家死去後は前田利長〕・毛利輝元・宇喜多秀家・上杉景勝)・五奉行(石田三成・前田玄以・増田長盛・長束正家・浅野長政)の集団指導体制によって政権運営がおこなわれたことは周知である。これまでの研究史では、五大老・五奉行について日本側史料をもとに考察されてきたが、本稿では『十六・七世紀イエズス会日本報告集』における五大老・五奉行に関する記載を検討することにより、新しい視点を提示しようと試みるものである。
著者
林 眞帆
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.52, pp.55-65, 2011-02

ソーシャルワークにおいては,クライエントの「主体性」ということが常に重要視されてきた.主体性の形成は,一方ではパターナリズムからの脱却,他方では近代的市民としての自立・自律に向けて意味をもったものである.しかし,臨床場面ではクライエントの「主体性」を保障できにくい条件が多く,クライエントの「主体性」に価値を置く理論と実践との乖離や葛藤が生じている状況がある.本稿は,ソーシャルワークにおける「主体性」概念をソーシャルワーカーの実践の中で検討することを通して,「主体性」を単に「個の尊重」として捉える従来の考え方を再吟味し,個人が社会的存在であるという点に着目して「主体性」概念の再構築を図ろうとするものである.
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.57, pp.113-123, 2016-02

関ヶ原の戦いに関する諸史料を検討する場合、関ヶ原の戦いに関係した部将が発給した書状などの一次史料(同時代史料)の内容検討が重要であるが、それと同時に、当時、在京していた公家・僧侶などの日記における関ヶ原の戦い関係の記載について検討することも重要である。よって、本稿ではこうした視点から慶長5年3月から同年12月までの公家・僧侶などの日記における関ヶ原の戦い関係等の記載を筆者(白峰)が現代語訳して時系列データベースとしてまとめ、それを見ていくうえでポイントとなる箇所について、若干の説明を小論として加えた。
著者
段上 達雄
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.54, pp.21-37, 2013-02

佐伯市米水津宮野浦や色利浦に伝わる盆の傘鉾は物故者の遺品を吊り下げたりするが、地元では傘鉾に故人の霊を憑依させるためと考えられている。同様なものは、三重県志摩地元や高知県宿毛市沖の島にも見られ、志摩の漁民による伝播の可能性が考えられる。
著者
角田 幸太郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.179-188, 2014-02

著者の名字の角は中のたて棒が突き抜ける人的資源会計、無形資産会計、intangible、イングランドプレミアリーグ、移籍金1990年代以降の英国において、人的資源に関わって支出した金額を実務上、資産計上している稀有な事例がある。英国プロサッカークラブでは、他のクラブから選手を引き抜く際に支出した金額を無形固定資産として貸借対照表に計上しているのである。この事例については複数の文献で紹介されているが、その経緯は明らかではない。そこで本稿では、先行研究や当時の実務を検証することを通じて、起源や目的を明らかとすることを目的とする。
著者
浅野 則子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.60, pp.1-7, 2019-02

大伴家持と妻大嬢は大伴家として望まれた婚姻であり、幸せな関係を維持したとされている。しかしながらそれを証明するのは歌のみである。二人の関係が安定したものとなる時期以前の「二人の空白期」とされる時期に家持は「亡妾」への挽歌を作っているが、この挽歌により万葉集において大嬢との幸せな関係が強調されている。