著者
渡辺 理 光岡 円 角田 潤 大野敬史 奥山 敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.142-154, 2004-01-15
被引用文献数
3

携帯電話(iモード)上での文字プレゼンス情報の交換によるパーソナルネットワーク支援の可能性を探るため,携帯電話の上でインスタントメッセージのように動作するプロトタイプサービスを実装し,短期のユーザ試行評価実験を行った.このサービスは,ユーザが共通のチャネルに参加するのではなく,任意の友人と個別にお互いの情報を見せ合う関係を結んで仲間リスト(バディリスト)に登録し,そこを基点に状態情報(プレゼンス情報)を交換することを特徴としている.ある女子大学の学生の仲良しグループを主な被験者とし,発見的な使い方を観察するために自由に使わせた.グループチャットやメーリングリストなどの強い対話機能を持たないことを懸念していたが,実際には,被験者は楽しみながら積極的に使ってくれた.友人同士でバディリストに一言メモを書いて見せ合うことは,メールやチャットでメッセージを送るよりも情報発信の敷居が低く,見られることを意識した日記を綴る感覚を楽しめる.そして,独り言メモから対話的なメモに移行したり,パーソナルな対話や仲間以外の人への情報発信をしたりする際の起点としても機能していた.このように多義的な用途に使われた特性をまとめ,パーソナルネットワークを支援する携帯文字プレゼンス交換システムの望ましい条件と課題について考察した.We discuss findings from an empirical and ethnographic study of a kind of instant messaging (IM) service on mobile phones. To estimate the possibility of presence interaction service for mobile phone, we developed a prototype system, which provides users for writing text memos and showing them on their friends' ''buddy list''. We call these ''presence memos''. Using this prototype, we conducted a field trial with two groups of young Japanese female university students. They enjoyed habitually using the services and gave us invaluable feedback. Based on the results of this experiment, we describe and discuss some features and possibilities of the mobile text-based presence interaction service for personal network assistance.
著者
岡田 壮一 角田 潤 浅見 俊宏 渡辺 理
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.281-282, 1996-03-06

パソコンがオフィスに導入され、文書作成に代表されるデスクワークは、生産性が向上した。さらに、LAN導入のシナジー効果も伴い、電子メールを用いた情報交換、データベースやノウハウなどの情報共有が可能となり、デスクワークへの電子化の恩恵は大きい。それとは対照的に、オフイスワークの30~70%を占めるといわれる対面型会議では、依然として紙の資料とホワイトボードの使用が中心であり、電子的支援が遅れているのが現状である。また、従来の会議における参加者間のコミュニケーションは、音声での議論が中心である。このような会議では、音声情報の曖昧性から、聞き手によって認識が異なることがあるため、合意されたと思った議事が実は合意されていなかったり、あるいは、合意されていても、認識にずれがあったりして、結局、何が議決されたのかすらわからないことがしばしばある。このような生産性の低さという問題は、経験上、否めない事実である。我々は、上記の問題意識の元、会議においていかに効率良く質の高いアウトプットを出すか、すなわち会議における知的生産性の向上を実現するために、対面型電子化合議システムの開発を行っている。我々は、ワープロの高い生産性に着目し、企業で頻繁に行っている、電子化に向いた収束型会議を対象とした。また、参加者が6人程度までの小規模な会議を考えた。収束型会議とは、参加者のリアルタイムのインタラクションを通じて、合意形成しながら最終的な文書を作り上げていく型の会議である。本稿では、サービスの検討と、サービスを実現するシステムについて記す。