著者
草野 篤子 角間 陽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.280, 2008 (Released:2008-11-10)

目的 少子高齢社会では多世代が共存・協力してコミュニティを形成することが重要である.異世代間の日常的な交流は著しく減少し,意識的・意図的な配慮によって多様な人間関係を構築する機会を設定しなければならない事態となっている.近年,学校教育では「総合的な学習の時間」や学校ボランティアなどによって世代間交流活動が行われている.その大半はイベント的なもので,日常的な交流や「なじみの関係」への発展は困難である.本研究は日本の学校における世代間交流活動の質的向上を図るために,子どもを支援する高齢者の事前研修・スキルアッププログラムを作成することを目的としている.そこで,義務教育学校に高齢者を派遣する事業(Klassmorfar;クラスダディ)を実施しているスウェーデンのプログラムを対象として研究に取り組んだ.方法 2007年8月,スウェーデンにおいてクラスダディを導入している学校の実地調査と子どもや教員,クラスダディおよび研修担当者,事務局メンバーへのインタビューを行った.結果 クラスダディはストックホルムのナッカ地域で1996年に開始された事業で,現在は69の県における163の市町村で導入されており,566名が活動している.クラスダディの認定には2ヶ月間の研修があり,1ヶ月間の試用期間を経て正式採用となる.研修の受講にもクラスダディ事務局による面談と選抜がある.研修は教育学や心理学,子どもの発達や問題行動,学校組織や教職員の役割,身体による意思表示などの内容で構成されており,グループ活動や実習も組み込まれている.クラスダディの効果として,子どもが精神的に安定し,教師の負担が減少するとともに,学校と保護者の連携強化が挙げられた
著者
角間 陽子 佐藤 文子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-44, 1999-04-01
被引用文献数
1

家庭科教育における意思決定能力育成の可能性を追究することを目的として教材の開発を行ない, 実験授業によってその有効性を考究した。開発した教材は意思決定の概要を説明するものと, 共生を志向した意思決定能力の考え方及び価値観の傾向が自己診断できるものである。実験的授業は自己診断を導入した教材の有無による実験群と統制群, さらに実験群を教材のメディアの違いで区分することにより三試験群を設定して行ない, プリ・ポストテストで学習効果を比較検討した。結果は(1)意思決定プロセスの理解, 意思決定の際に周囲への影響を考慮すること, 意思決定能力を向上させるために自己の考え方を認識することが持つ意味等について, 自己診断を導入した教材を用いた実験群が統制群に比して有意に高い学習効果を示した。(2)教材のメディアの違いによる比較においては, パソコンを導入した実験群Bの方が意思決定プロセスをシステマティックにとらえることの理解, 授業内容に対する興味・関心, 生活での実践意欲等において高い結果となった。終りに, 本研究の実験授業にご協力くださいました新潟県中越高等学校の教職員及び生徒の皆様, CAIソフト作成に対してご懇切なるご指導を賜りました横浜国立大学原田睦夫先生に厚くお礼申し上げます。