著者
設楽 宗孝
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究特集号 (ISSN:09196803)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.21-25, 2002
参考文献数
18

日常生活で我々が行動するとき、通常、目標があり、それを達成しようというモチベーション(動機付け)によって行動を計画しそれを実行に移す。この際、我々は絶えず現在の状態と到達目標とを比較し、目標に近づくほど期待が高まる。したがって、この期待に対応する神経活動が脳内にあることが予想される。この点を研究するために、我々はモチベーションの大きさをコントロールして報酬期待の大きさを調べることのできる「多試行報酬スケジュール課題」を開発した。この課題ではサルは数回の試行を正解して初めて報酬のジュースがもらえる。報酬に到達するのにあとどのくらいの試行回数が必要かを示す視覚的キューを提示していると、サルは報酬に近づくほど誤答率が少なくなり、これは報酬への期待が高まっていることを反映していると考えられる。さて、脳内には、情動やモチベーションの上で重要な刺激に反応して行動を起こすときに働いているといわれているループ回路があるが、このループに属する前帯状皮質から単一ニューロン活動を記録して解析した。その結果、報酬を得るまでにいくつかのステップが必要なスケジュールを遂行する際に、スケジュールの進行、或いは、報酬への期待の大きさを表現している神経細胞があるということがわかってきた。
著者
設楽 宗孝 水挽 貴至 松本 有央
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

視覚認識視覚認識において確率共鳴現象がどのような条件で起こるかどうかを調べるために、サルに逐次型遅延見本合わせ課題をトレーニングするための実験制御装置を作成した。ここで、ノンマッチ刺激およびマッチ刺激、背景にはランダムドットノイズを加える。ノイズ量と視覚認識の反応の早さとの関係を調べるために、サルのこの課題のトレーニングを行っているところであるが、ヒトで予備的検証を行ったところ、5%ノイズ程度のところで反応時間が最も短くなり、ヒトでも同様のプロセスがあることが考えられた。