著者
高橋 省三 諸橋 正昭
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.360-367, 1991

富山医科薬科大学附属病院皮膚科外来を受診した女性の瀰漫性脱毛症患者16名に対し, プラセンタエキス, 酢酸トコフェロール, サリチル酸, センブリエキスおよび数種の植物抽出液などの成分の他に, エチニルエストラジオールを配合した女性用育毛剤コラージュリッチを使用し, 臨床症状に対する影響および安全性について検討を行い, 下記の結果を得た。<BR> 1) 瀰漫性脱毛症患者(瀰漫性脱毛症を主訴とし円形脱毛症を併発している症例3例, 脂漏性湿疹併発症例3例を含む)16例に対し, 全般改善度では「中等度改善」以上改善した症例は2例(12.5%), 「軽度改善」以上の症例は12例(75.0%)であった。<BR> 2) 概括安全度については, 全例に副作用を認めず, すべての症例に対し「問題なし」との評価であった。<BR> 3) 有用度の判定では, 「かなり有用」以上の有用症例が2例(12.5%), 「やや有用」以上が14例(87.5%)であった。<BR> これらの成績から, コラージュリッチは女性の瀰漫性脱毛症に対し有効かつ安全な育毛剤であると考えられた。
著者
後藤 博三 籠浦 正順 嶋田 豊 小暮 敏明 諸橋 正昭 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.207-215, 2001-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
19

菌状息肉症の腫瘍期の症例に対し, 電子線照射やIFN-γの局所療法などの西洋医学的治療に加え, 和漢薬治療を併用し, 長期間良好な経過を得ている症例を経験したので報告する。症例は40歳・男性・会社員。平成3年12月, 上肢を中心に紅斑が出現し全身に拡大した。平成9年7月, 体幹に皮膚腫瘤の形成を認め当院皮膚科にて皮膚生検により菌状息肉症腫瘍期と診断。同年9月に当部を初診し, 潰瘍を伴う皮膚腫瘤や皮疹を目標に, 十味敗毒湯, 托裏消毒飲, 内托散, 〓帰膠丈湯等を使用した。また, 電子線照射施行時の口渇や照射部の熱感に対して白虎加人参湯を, 併発する下痢や全身倦怠感に対して黄耆建中湯等を適時用いた。以後, 皮膚科におけるIFN-γと免疫療法を継続し, 小腫瘤の再発時に托裏消毒飲等を用い良好に経過している。今後も, 慎重な経過観察が必要であるが, 和漢薬の併用が本症例に有用であると考えられた。