著者
譚 新平 上田 悦範 今堀 義洋 茶珍 和雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.683-688, 1999-05-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究ではツルレイシ果実の発育中ならびに貯蔵中の果実および種衣の色素の同定と量的変化を調べた.1. 果実の発育段階におけるカロテノイドの組成は, 果肉では主にルテインで, その他, β-カロテンとα-カロテンから構成されていた.種衣でも少量のカロテノイドを含み, 検出された色素組成は果肉と同じであった.この段階では, 果肉のクロロフィルとカロテノイドともに減少した.2. 果実の成熟段階では, 果肉のクロロフィルはほとんど消失したが, カロテノイドとしてクリプトキサンチンとリコピンが現れ, 特に前者が著しく増加して, 主要な色素になった.種衣の主なカロテノイドはリコピンで, その含量は最高64.7mg/100gに達した.3. 貯蔵中の果実の果肉におけるクロロフィル含量の変化は, 貯蔵温度が高ければ減少が速く, 一方, カロテノイド含量は温度が高いほど増加が大きかった.種子の種衣のリコピン含量は30℃で著しく増大した.