著者
谷川 夏実
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.105-116, 2013-08-31

本研究の目的は,新任保育者の危機を通じた専門的成長について,省察を手がかりとして明らかにすることである。省察をとらえる視点として<(1)問題状況のとらえ方の変容><(2)実践に取り組む姿勢の変容>に着目し,幼稚園教諭2名の,1年余りに渡る継続的なインタビューデータを分析した結果,それぞれの新任保育者に固有のリアリティ・ショックとそれに伴う省察がみられ,省察を通じた専門的成長を読み取ることができた。この結果から,新任保育者が省察によって問題状況を解釈する枠組みを獲得し,それに基づき実践に取り組む姿勢に変容がみられるまでには,一定の期間と機会を与えられることが必要だということが示唆された。
著者
谷川 夏実
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.202-212, 2010-12-25

本研究の目的は,幼稚園実習におけるリアリティ・ショックとリアリティ・ショックにともなう学生の保育に関する認識の変容プロセスを9名の学生へのインタビューにより明らかにすることである。分析の結果,リアリティ・ショックをともなう問題状況における学生の認識の変容には,【子ども理解の発展】というプロセスを経るものと,【ショックからの回避】というプロセスを経るものの2つが見出された。これらの対照的な2つのプロセスにおいて,学生がどちらのプロセスをたどるかは実習先の保育者との出会いの在り方に規定されており,その在り方が実習内容の質に大きな影響を与えることが示された。