著者
酒井 朗 碓井 彰
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.774-779, 1999-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3

マスク材を表面に部分的に形成して成長を行う選択横方向成長方法により,転位密度の少ない高品質窒化ガリウムが得られた.成長手法として八イドライド気相成長を用いたが,成長初期の段階で安定なファセット構造が出現し,成長モードが変化することに対応して,転位がその伝播方向を変えることが断面透過電子顕微鏡観察で見い出された.窒化ガリウム中の転位構造とその挙動を詳細に観察し・選択横方向成長による転位削減機構を探る.
著者
藤田 英典 紅林 伸幸 酒井 朗 油布 佐和子 名越 清家 WONG SukーYin
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は、日本、カナダ,アメリカ、イギリス第8カ国の国際比較共同研究「教師の専門性と教師文化に関する国際比較研究(略称:PACT)」の一環として、PACT日本チームによって行なわれたもので、学校教育及び教師の仕事の改善に資することを目的として、文献研究、エスノグラフィ調査、及び質問紙調査を行い、日本における教職の専門性と教師文化の構造・特質について考察したものである。その成果と知見は多岐にわたるが、主なものは以下の通りである。1.教師文化と教育実践に関するエスノグラフィ的研究平成6年度に1年間にわたって4地域の小・中学校各1校(計8校)でフィールドワークを行ない、教師の仕事と教師文化について考察を行った。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の論文等にまとめられている。また、その知見の一部としては、教師の仕事が多種多様な作業(ワーク)によって構成されており、それが重層的に展開していることのなかに、教職の専門性や教師の多忙感の基盤があることが明らかにされた。2.教師の生活と意識に関する質問紙調査平成7年7月〜9月に全国8都県の小・中学校教師2053人を対象に実施し、教師の生活と教師文化の構造について考察した。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の研究報告書にまとめられている。同報告書において、教師の同僚性、教職の専門性、教員集団の構造、学校の組織構造などが考察・解明されている。3.PACT国際会議等での研究成果の発表平成7年4月の全米教育学会大会(AERA)、同年同月のロンドンでのPACT国際会議等、研究成果の一部を発表した。なお、今後さらに、英文で研究成果をまとめ公表する予定である。
著者
丹羽 さがの 酒井 朗 藤江 康彦
出版者
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
no.2, pp.39-50, 2004

近年我が国では、子どもたちに「生きる力」をはぐくむ教育が重視されている。この流れのなかで求められているのは、教育の「長期的な視野からの一貫性」(秋田、2002)であり、特に、幼稚園・保育所と小学校の連携は、いわゆる「学級崩壊現象」との関連から語られるなど注目されている。本研究では、幼稚園、保育所、小学校の連携に向けて基本的に必要なものは、立場が違う者同士が理解し合い、協力し合う姿勢であると考え、連携に向けた基礎的資料の収集を目的として、幼稚園、保育所、小学校の教諭、保護者を対象とした、質問紙法による意識調査を行なった。現在の子どもたちの姿については「自主性・積極性」、日常生活、園・学校生活に必要な「基本的態度」のいずれとも、保護者の方が教諭に比べ、全般的に高く評価していた。育てたい子どもの姿については、「自主性・積極性」と「基本的態度」とも、小学校保護者、幼稚園・保育所保護者、小学校教諭、幼稚園教諭・保育所保育士の4調査対象者間で、重視する程度に違いがあった。学校不適応の背景要因の認識では、「家庭にある問題」「子どもの生活の変化」「小学生をめぐる問題」で、4調査対象者間に認識の違いが見られた。幼保小連携は、まだ始まったばかりの新しい取り組みである。本研究からは、これからのよりよい幼保小連携に向けた取り組みにおいて、連携関係者の互いの理解に資するような、基礎的資料が収集できたものと考える。
著者
佐多 祐策 酒井 朗 唐木 保照 土持 綱治
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-36,53, 1952-03-01 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13

Congenital anal atresia is a malformation which is fairly frequently encountered in the clinic. Recently, the authors happened to fall upon a case of simple anal atresia and a case of complicated vesical anal atresia accompanied by female spurious hermaphrodism in the Department. Therefore, the cases are reported and discussed in the present paper for the purpose of comparative considerations.Most cases of simple anal atresia or complicated anal atresia are usually first diagnosed on the occash, n when the clinical symptoms of ileus have appeared. Plastic operation for the case of simple anal atresia, and artificial anus for the case of complicated vesical anal atresia was indicated. Surgical treatment of plastic operation of anus was performed on these cases 4 months after the first operations.In the case of vesical anal atresia, the fact that it was accompanied by female spurious hermaphrodism was discovered during the second operation. Therefore, a review on the embryological pathology of complicated anal atresia was attempted, and discussions were made on the genesis of hermaphrodism with reference to the past literatures on the subject.
著者
酒井 朗 上山 敏 永田 晴子 長谷川 秀一 米山 泰夫 伊藤 茂樹 保坂 亨
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.23, pp.246-257, 2013 (Released:2013-09-19)
参考文献数
3

本学教職総合支援センターでは,本学ならびに首都圏にある他の3つの大学で教職課程を履修する学生を対象に,教職に対する意識と学習への取り組みに関する質問紙調査を2012年秋に実施した.具体的な調査項目は,教職への動機付けの高さ,学習に対する取り組み,教員に期待される資質や能力の修得の度合いの3点についてである.回答した7割の学生は教職に就くことを志望しており,3割は高校生の頃に教職を志望するようになったと回答した.また,大半の学生は専門科目の授業も教職科目の授業も熱心に取り組んでいるが,自ら情報を得たり教育関連の本を読むことは少ない.さらに,学生たちは,同僚教員からの意見やアドバイスに耳を傾ける姿勢や担当教科の内容の修得度などについて,自身の力量を高く評価していることが分かった.
著者
酒井 朗 島原 宣男 Akira Sakai Nobuo Shimahara 東京大学 ラトガーズ大学 University of Tokyo Rutgers University
出版者
東洋館
雑誌
教育社会学研究 = The journal of educational sociology (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.135-153, 1991-10-20
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to present, from a sociology of knowledge perspective, a critical analysis of dominant traditional teaching methods deeply rooted in the culture of teaching. The previous studies on this research topic were influenced by Western scholars and failed to offer a clear understanding of the process of learning teaching methods. We use an ethnographic approach to study the Process. Based on an analysis of our ethnographic data we conclude that: (1) Teachers uncritically accept the traditional teaching method as a taken-for-granted approach to teaching. These methods are not used as a survival strategy to cope with constraining situations they encounter. (2) The reason why teachers predominantly use the traditional method is grounded in ethnopedagogy which integrated various aspects of teaching. Beginning teachers come to share ethnopedagogy through intersubjective interaction with experienced teachers. Its emphasis is placed not on instructional methods but on the relationship of trust between teachers and students. Because the traditional instructional method is compatible with ethnopedagogy, teachers are not actively seeking new methods. (3) Structural factors contribute to the perpetuation of ethnopedagogy. First, the absence of interaction that exists between universities and schools tends to prevent infusion into schools of innovative pedagogical theories formulated by scholars. Second, relatively closed interaction among teachers is conducive to the continuation of traditional pedagogy. Third, ethnopedagogy is the most influential practical approach that integrated various aspects of teaching and teacher responsibilities. (4) Influence of official policies of the Ministry of Education on deciding teaching strategies is not obvious. Rather it is established in its control of curriculum and the legitimacy that suggest traditional instructional methods.
著者
耳塚 寛明 牧野 カツコ 酒井 朗 小玉 重夫 冨士原 紀絵 内藤 俊史 堀 有喜衣
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

青少年の学力および進路形成過程を総合的に把握するため、東北地方1都市(2004年調査、以下Cエリア)と、比較対象地域である関東地方1都市(2003年調査、以下Aエリア)における生徒、保護者、担任調査の統合データを用い細分析を行った。学力、キャリア展望、学校適応等と家庭的背景、ジェンダー、学校的背景、地域的背景などとの関連を明らかにした。また、学級による学力差に注目した分析を行った。主な知見は以下の通りである。Cエリア小学校における学力の学級差について基礎的な分析を行ったところ、小学校6年生に学力の学級差が大きいこと、学力が高く学級による差異が小さいグット・プラクティスの学校が存在することが明らかになった。このような学級差に関して、都市部、稲作地域、兼業畑作地域といった地域的な要因、学校内の生徒集団、生徒集団の引継といった複数の要因が関連している可能性があり、今後の分析課題とした。高校生の職業イメージとジェンダーの関連について、親の仕事に対する捉え方に注目し分析を行ったところ、これまでの分析Aエリアに比べ業績主義的な特徴を持つことが明らかになってきたCエリアにおいても、パート、主婦・家事という仕事に対するイメージや、距離感に男女で違いがあることが明らかになった。高校生の学校適応について、小さい頃本を読んでもらったことがある、博物館に連れて行ってもらった、食事を大切にしている、近所づきあいを大切にしているといった家族関係、家庭環境と関連していることが明らかになった。一方、両親の学歴や勉強部屋の有無といった物理的な教育環境は影響していなかった。生徒、担任、保護者調査の統合データを用いることで、職業や所得、教育環境、家族関係といったより複雑な家庭的背景について分析、教育実践をも視野に入れた学力形成の要因分析を行うことが可能となった。(766字)