著者
林 陽子 森本 美智子 神原 千比呂 中村 珠恵 谷村 千華
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.2_49-2_56, 2011-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
36

本研究の目的は,自覚症状ならびにストレス認知と心理的状態の関係を明らかにすることであった。対象は満20歳以上の入院患者81名であった。自覚症状の測定にはIPQの12項目にCMIを参考にした13項目を組み合わせて用い,ストレス認知の測定には病気関連不安認知尺度,心理的状態の測定にはHADSを用いた。まず自覚症状の因子妥当性と信頼性を確認し,自覚症状,ストレス認知,心理的状態の相関関係を確認した。次に従属変数を心理的状態とし,自覚症状が直接的またはストレス認知を介して影響するとする因果モデルを設定し,関連性を検討した。結果,自覚症状はストレス認知および心理的状態に影響を与えており,ストレス認知は心理的状態により強い影響を与えることが明らかになった。これは,看護師が入院患者の心理的な健康状態を維持するうえで,自覚症状のマネジメントのみならず,ストレス認知についても把握し,介入することの重要性を示唆している。
著者
谷村 千華 松尾 ミヨ子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.35-43, 2008-03-15
被引用文献数
1

本研究は,農業従事高齢者の体力に影響を及ぼす関連要因を検討することを目的とした.対象は中間農業地域に在住する65歳以上の高齢者79名である.体力の実態とともに,関連要因として,基本的属性,配偶者の有無,疾患の有無,農作業状況,日常生活状況,体組成,骨密度を調査した.その結果,女性の脚筋力においては,農作業姿勢が関連要因として示唆された.生活体力における歩行動作では,男女とも,年齢が高く,昼寝・うたた寝をよくする者ほど動作が遅かった.女性において,年齢が低く,体脂肪率が低い者ほど起居動作が速く,握力が強く,体脂肪率が低い者ほど身辺作業動作が速かった.以上のことから,運動参加への動機づけとして,加齢に伴う生理的機能の変化を遅延させる運動の重要性が示唆された.また,女性では,身辺作業および起居動作能力の維持・向上には肥満予防や上肢の筋力を鍛えることの重要性が示唆された.