著者
内倉 敬一郎 柳田 茂寛 豊山 博信 三枝 伸二 福元 俊孝 愛甲 孝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.1529-1533, 2004-06-25
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

症例は64歳,男性. 23年前,胃潰瘍にて幽門側胃切除(Billroth I)を受けている.平成14年4月頃より嚥下困難出現し当院受診.食道胃透視,内視鏡検査にてEG junctionから口側に約3cmの後壁中心1/4周,潰瘍,びらんを伴う隆起性病変を認めた.生検にて中分化および低分化型管状腺癌と診断され,左開胸開腹連続斜切開にてD2リンパ節郭清を伴う下部食道,残胃全摘術施行した.病理検査にて腫瘍の大半は高分化,中分化型管状腺癌(深達度ss)であり,腫瘍の口側2cmでは正常の食道扁平上皮とそれに連続する粘膜内扁平上皮癌が腺癌を被覆するように存在した.両者は相接して存在していたが,明らかな境界があり形態の移行像は認めなかった.以上より食道残胃衝突癌と診断した.
著者
松本 英彦 小川 洋樹 豊山 博信 柳 正和 西島 浩雄 愛甲 孝
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.77-84, 2002-04-20

目的・方法.術前あるいは術後に病名を告知されている肺癌術後の患者・家族それぞれ67名を対象にアンケート調査を行った.結果.患者の4割が進行度に関係なく再発が不安と回答した.さらに患者にとっては生きがい・心のよりどころ・気がかりなのも家族であった.また患者の半数は告知を受けたショックから1週間以内に立ち直っており,患者・家族の8割以上が今回の患者への告知を肯定していた.一方,一般的な質問として早期癌患者に対する告知については患者・家族の8割以上が肯定していたが,進行癌患者に対してはともに6割以上が慎重であった.さらに患者は告知を希望するが家族が患者本人への告知を希望しない場合には半数以上が,患者も家族も告知を希望しない場合は7割以上が告知に対して慎重であった.結論.今後は,我々医療従事者は患者各々の心理状態や家族関係も念頭に置いた告知の方法を身につけておく必要があると考えられた.