著者
白尾 一定 前之原 茂穂 愛甲 孝
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.309-313, 1995-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
6

消化器外科に入院した患者84例を対象として, 栄養状態と虚実証の関連について検討した。虚実証の判定は, 大竹の虚実判定スコアーを用いて行った。癌患者の%理想体重は, 非癌患者より有意に低値であった (p<0.01)。癌患者と非癌患者の虚実証の頻度に差は認められなかった。虚実判定スコアーは握力 (r=0.6), %理想体重 (r=0.29), 血清アルブミン (r=0.27) との有意の相関が認められた (p<0.05~0.01)。とくに, 握力は一元配置分析にて虚証, 中間証と実証の3群間に有意差が認められた (p<0.01)。虚実判定スコアーは栄養評価の一つとして有用と思われた。
著者
馬場 政道 草野 力 福元 俊孝 野口 靖彦 中野 静雄 森永 敏行 榎本 稔美 田辺 元 吉中 平次 愛甲 孝 島津 久明
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.1970-1976, 1989-08-01
被引用文献数
7

胸部食道癌根治手術142例を3領域郭清70例と2領域郭清72例にわけて,拡大リンパ節郭清に伴う術後合併症を検討した.3領域郭清群の咳嗽反射の出現日は平均5.8日,気管内チューブの抜管日は平均7.7日であった.反回神経麻痺は49%に,誤嚥は13%に認められた.肺炎は27%(19/70例)に認められ,19例中9例(47%)が誤嚥に続発する肺炎で,その出現は術後平均26日と遅いが,いったん発生すると重篤な肺炎に移行しやすい.総ビリルビン4mg/dl以上の86%は直接ビリルビン優位で術後5〜8日に出現し,3領域郭清群に出現頻度が高率であった.なお,3領域郭清群では郭清範囲の拡大にもかかわらず縫合不全の増加は認められなかった.
著者
内倉 敬一郎 柳田 茂寛 豊山 博信 三枝 伸二 福元 俊孝 愛甲 孝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.1529-1533, 2004-06-25
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

症例は64歳,男性. 23年前,胃潰瘍にて幽門側胃切除(Billroth I)を受けている.平成14年4月頃より嚥下困難出現し当院受診.食道胃透視,内視鏡検査にてEG junctionから口側に約3cmの後壁中心1/4周,潰瘍,びらんを伴う隆起性病変を認めた.生検にて中分化および低分化型管状腺癌と診断され,左開胸開腹連続斜切開にてD2リンパ節郭清を伴う下部食道,残胃全摘術施行した.病理検査にて腫瘍の大半は高分化,中分化型管状腺癌(深達度ss)であり,腫瘍の口側2cmでは正常の食道扁平上皮とそれに連続する粘膜内扁平上皮癌が腺癌を被覆するように存在した.両者は相接して存在していたが,明らかな境界があり形態の移行像は認めなかった.以上より食道残胃衝突癌と診断した.
著者
小田原 良治 西 満正 小玉 徳信 野村 秀洋 愛甲 孝 金子 洋一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.844-852, 1979 (Released:2011-03-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

雑種成犬18頭および臨床例67例を対象として負荷試験によるセクレチン放出を検討した.その結果, 0.3M Glycinc, 各濃度Etylalcoholには直接的セクレチン放出作用はなく, 稀塩酸のみ有意のセクレチン放出作用を認めた.ヒトにおけるアルコールのセクレチン放出作用は, アルコール投与により惹起された胃酸分泌の亢進が原因と考えられる.臨床例の空腹時セクレチン値は, 胃全剔で低値を示す傾向にあり, セクレチン値と健常な胃の存在が密接な関係にあることがうかがわれた.塩酸負荷後のセクレチン放出は, 胃全剔例では, Roux-YよりDouble Tractが良好であり, 噴門側胃切除例ではN字吻合が良好であった.
著者
小田原 良治 西 満正 小玉 徳信 野村 秀洋 愛甲 孝 金子 洋一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.844-852, 1979-11-01
被引用文献数
1

雑種成犬18頭および臨床例67例を対象として負荷試験によるセクレチン放出を検討した.その結果,0.3M Glycine,各濃度Etylalcoholには直接的セクレチン放出作用はなく,稀塩酸のみ有意のセクレチン放出作用を認めた.ヒトにおけるアルコールのセクレチン放出作用は,アルコール投与により惹起された胃酸分泌の亢進が原因と考えられる.臨床例の空腹時セクレチン値は,胃全剔で低値を示す傾向にあり,セクレチン値と健常な胃の存在が密接な関係にあることがうかがわれた.塩酸負荷後のセクレチン放出は,胃全剔例では,Roux-YよりDouble Tractが良好であり,噴門側胃切除例ではN字吻合が良好であった.
著者
松本 英彦 小川 洋樹 豊山 博信 柳 正和 西島 浩雄 愛甲 孝
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.77-84, 2002-04-20

目的・方法.術前あるいは術後に病名を告知されている肺癌術後の患者・家族それぞれ67名を対象にアンケート調査を行った.結果.患者の4割が進行度に関係なく再発が不安と回答した.さらに患者にとっては生きがい・心のよりどころ・気がかりなのも家族であった.また患者の半数は告知を受けたショックから1週間以内に立ち直っており,患者・家族の8割以上が今回の患者への告知を肯定していた.一方,一般的な質問として早期癌患者に対する告知については患者・家族の8割以上が肯定していたが,進行癌患者に対してはともに6割以上が慎重であった.さらに患者は告知を希望するが家族が患者本人への告知を希望しない場合には半数以上が,患者も家族も告知を希望しない場合は7割以上が告知に対して慎重であった.結論.今後は,我々医療従事者は患者各々の心理状態や家族関係も念頭に置いた告知の方法を身につけておく必要があると考えられた.