- 著者
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赤壁 善彦
- 出版者
- 社団法人 におい・かおり環境協会
- 雑誌
- におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.5, pp.323-328, 2013-09-25 (Released:2017-10-11)
- 参考文献数
- 16
鮎は,“香魚,キュウリ魚”ともいわれ,体表面から発せられる独特のにおい成分により,「キュウリ様」,「スイカ様」と評価される一方で,海魚と比べ川魚特有の生臭さがあると言われている.そこで,この生臭さのイメージを解消し,より嗜好性の高い鮎の開発を目指し,柑橘果皮残渣を利用して養殖を行ったところ,誰もが柑橘の風味を知覚することのできる鮎の開発に成功し,「柑味鮎(かんみあゆ)」と命名した.また,「柑味鮎」と天然や通常の養殖鮎の試食のアンケート結果とにおい識別装置により,においに関する正の相関が確認でき,各鮎のにおいの質を明確に区別できることが分かった.この開発した「柑味鮎」はブランド化され,地元で食材として提供されているのみならず,全国展開され,贈答用商品も流通している.