著者
斎藤 秀俊 越智 元郎 市川 高夫 生垣 正 円山 啓司
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.41-47, 2002-08-10 (Released:2010-06-08)
参考文献数
12

水難事故の犠牲者の7割強が着衣状態である。着衣状態にあると身体の自由が利かないため, 落水直後に呼吸を継続するために顔を水面に出すことが難しい。一方で, わずかな努力で「背浮き」を行なうことができれば呼吸が可能となり生存時間が伸びる。着衣状態にある人が水に落ちると空気は通常衣服に残留する。したがってリラックスすれば着衣状態の人はすぐ水面に浮かびあがる。本研究ではこれをChain of Survivalの輪を構成する新しい技術と考え, 「着衣泳」として指導要領の策定を行った。次いでこの指導要領を普及させる目的で教材を作製し, 全国の学校, 教育委員会, 消防本部などに広報・配布した。今同提唱した着衣泳を含む溺水防止のための技術・知識は, 水難事故の犠牲者を減少させるために有用と考えられる。