著者
斎藤 秀俊 越智 元郎 市川 高夫 生垣 正 円山 啓司
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.41-47, 2002-08-10 (Released:2010-06-08)
参考文献数
12

水難事故の犠牲者の7割強が着衣状態である。着衣状態にあると身体の自由が利かないため, 落水直後に呼吸を継続するために顔を水面に出すことが難しい。一方で, わずかな努力で「背浮き」を行なうことができれば呼吸が可能となり生存時間が伸びる。着衣状態にある人が水に落ちると空気は通常衣服に残留する。したがってリラックスすれば着衣状態の人はすぐ水面に浮かびあがる。本研究ではこれをChain of Survivalの輪を構成する新しい技術と考え, 「着衣泳」として指導要領の策定を行った。次いでこの指導要領を普及させる目的で教材を作製し, 全国の学校, 教育委員会, 消防本部などに広報・配布した。今同提唱した着衣泳を含む溺水防止のための技術・知識は, 水難事故の犠牲者を減少させるために有用と考えられる。
著者
重臣 宗伯 佐藤 ワカナ 柴田 繁啓 越村 裕美 円山 啓司 吉岡 尚文
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.145-148, 2001-07-20
参考文献数
6
被引用文献数
1

高齢者の入浴中の心肺停止の原因を発生状況と地域性から明らかにするために, 発生率によって秋田・青森群と非秋田・青森群の2群に分けて比較検討した。秋田・青森群の発生率は3.51で, 11月に発生のピークがあるのに対し, 非秋田・青森群では2.24で12月に発生のピークがあった。全発生数に占める高齢者の割合, 性別, 発生場所, 水没の有無, 浴槽の形状, 家族との同居の有無, 入浴前飲酒の有無, 既往歴には明らかな差を認めなかった。高齢者の入浴中の心肺停止は外気温が10℃を下回る時期から発生数が増加し, その発生には脱衣場・浴室内の温度の低さが関係していると考えられた。寒冷な時期での脱衣場・浴室内の暖房の必要性を啓発する必要がある。