著者
菅野 和久 徳永 賢治 越智 正昭 宍野 宏治 村瀬 光春 佐伯 修一 武内 望 篠原 力雄 石黒 伊三雄
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.168-172, 1993-09-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
12
被引用文献数
3

糖尿病患者における合併症や易感染性の原因とその機序を解明する目的でphorbo-myristateacetate刺激時 (PMA) およびオプソニン化チモーザン刺激時 (OZ) の好中球活性酸素産生能を測定し, さらに血中糖化タンパク (HbA1c, フルクトサミン) 濃度との関連性を調べた。糖尿病患者はPMA, OZ両者ともに健常人と比較して好中球活性酸素産生能の低下傾向を示し, PMAではp<0.01で有意に低下した。また血中糖化タンパク濃度との相関性は認められなかったが, 空腹時血糖値とは負の相関性 (r=-0.500, p<0.05) を認めた。健常人血液へのグルコース添加実験で好中球活性酸素産生能は20から50mmol/lまでは有意 (p<0.05) に低下傾向を示した。以上より, 好中球活性産生能は高血糖状態を示す糖尿病患者で低下しており, 好中球機能障害の要因となることが示唆された。このことは, 糖尿病患者好中球に存在するreduced nicotinamide adenine dinucleotide phosphate (NADPH) の減少が原因と考察した。