著者
柳川 洋一 後藤 清 越阪部 幸男 阪本 敏久 岡田 芳明
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.587-592, 2004-11-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
26

背景:排泄行為は循環動態に影響を与える。目的:トイレでの疾患発生状況を明らかにすること。方法:平成15年5月から1年間で,所沢市内のトイレで発症し,救急車の要請があった全症例(n=74)を対象とした。対象の性別,年齢,気温,トイレの様式,使用目的,搬送先の診断名に関して検討を行った。結果:性別は男性40例,女性34例,平均年齢は68±16歳であった。トイレの様式は洋式62例,和式2例,小便器2例,不明8例であった。使用目的は排便38例,排尿28例,不明8例であった。診断名に関しては中枢神経疾患23例,失神12例,消化管疾患11例,心疾患9例,ショック6例,心肺機能停止4例,その他9例であった。心疾患は失神と比較して,低温環境での発症が多かった。結語:中枢神経疾患を発症する危険性のある患者には円滑な排泄行為が行えるような対策,失神を生じやすい人には高温環境での排泄を回避する対策,心疾患に罹患している患者には低温環境での排泄を回避する対策をとる必要がある。