著者
趙 南元 飯島 泰蔵
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J68-D, no.5, pp.1125-1132, 1985-05-25

一枚の複雑な画像が与えられたとき,あるいはある風景を眺めたとき,それを認識し,理解しようとすれば,人間はまずそれらを幾つかの簡単な画像に分けることから始めるであろう.人間の目は,無意識の中に,良い視点と視野を決め,自分にとって最も意味のある視覚情報を積極的に取り入れる.本論文ではこのようなプロセスを近似する一つの試みとして安定視点木法を提案する.本方法は,図形の基礎方程式にもとづく最適抑制法を土台にし,視点の安定性を視野を決める基準とすることによって,与えられた複雑な画像から特徴パターンを抽出する方法である.抽出された特徴は,扱い易い木構造となり,安定視点木と呼ばれる.本文では,ボケ変換を解析することにより,安定視点木の定義の正当性を論じ,その性質を明らかにした.本方法による画像の特徴抽出法は,画像の特質に依存しないため,汎用性のある特徴抽出法として,広く応用することが可能である,と考えられる.