著者
趙 恵真
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.195-211, 2016-01-15

本稿では,前期現代語における日韓漢語動詞の形態的特徴を明らかにした上で,現代の日韓漢語動詞とはどのような相違点がみられるかについて対照考察を行う。日韓両言語には,漢語の後部にスルとhadaがそれぞれ結合して使われる場合が多く,この場合,「漢語+スル」と「漢語+hada」には比較的整然とした対応関係が見られる。このような「漢語+スル」と「漢語+hada」の形態を本稿では「漢語動詞」と呼び,日韓両言語それぞれをスル形,hada形と称する。しかし,語彙によってはスル形とhada形が対応しない場合がある。例えば,日本語ではスル形でしか現れないものが,韓国語においてはhada形の他に「doeda(なる)」,「sikida(させる)」,「chida(打つ)」,「danghada(負う)」,「gada(行く)」などの動詞が漢語と結合して現れる場合がある。このような事実をふまえつつ,前期現代語における日韓両言語の漢語動詞の形態的特徴について考察を行った結果,現代語とは異なる形態的特徴及び対応関係がみられることが明らかになった。また,対応関係からA,B,C,D,Eの5パターンに分類できた。Aパターンは現代語と前期現代語においてスル形とhada形が対応する場合である。日韓両言語においてもっとも生産的な形態であるといえる。Bパターンは日本語の現代語と前期現代語ではスル形で現れるが,韓国語の現代語ではhada形以外の形態を取る場合である。Bパターンは韓国語の前期現代語においてhada形以外にどのような形態を取るかにより,さらに4つに下位分類できる。Cパターンは前期現代語では日韓両言語とも漢語動詞として現れない場合である。Dパターンは日韓両言語とも前期現代語では漢語動詞で現れたものが,現代語では漢語動詞として現れない場合であり,Eパターンは韓国語の前期現代語でのみ漢語動詞で現れる場合である。
著者
趙 恵真
出版者
Hokkaido University(北海道大学)
巻号頁・発行日
2018

Hokkaido University(北海道大学). 博士(文学)