著者
那須川 佳祐 升井 尋斗 車谷 麻緒
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.23-00190, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
23

本論文では,鉄筋コンクリートの詳細なメゾスケールモデルの作成から,非線形メゾスケール解析までを行える方法を開発し,鉄筋コンクリートはりのメゾスケールにおける3次元破壊挙動をできるかぎり忠実に再現することを目的とする.メゾスケールモデルの作成では,異形鉄筋の3次元形状に加えて,ボロノイ分割法を利用して粗骨材の3次元形状と粒度分布を再現する.モルタルと粗骨材で構成されるコンクリート相には,異種材料を表現可能な損傷モデルを適用し,コンクリートのメゾスケールにおけるひび割れ進展挙動を再現する.曲げ破壊型およびせん断破壊型の鉄筋コンクリートはりの4点曲げ実験と同様の数値実験を行い,メゾスケールにおける複雑な3次元破壊挙動を再現するとともに,シミュレーション結果と実験結果が定量的に一致することを示す.
著者
車谷 麻緒 佐々木 浩武
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.20180008-20180008, 2018-05-17 (Released:2018-05-17)
参考文献数
22

鉄筋コンクリートには,大小様々なひび割れが発生する.大きいひび割れは構造物の力学性能を低下させ,たとえ目に見えない小さなひび割れであっても,水やイオンの移動経路となり,鉄筋を腐食させるため,構造物の耐久性を低下させる.鉄筋コンクリートに生じるひび割れは3次元的に発生・進展を繰り返すため,実験的にも,解析的にも,精度よく捉えるのが困難という問題がある.鉄筋コンクリートに発生・進展するひび割れの3次元幾何形状を精度よく再現し,その結果をわかりやすく可視化することができれば,損傷状態の直観的な理解や,複雑な力学機構の解明に役立つと考えられる. 本論文では,物理シミュレーションを用いて,鉄筋コンクリート内部に形成するひび割れ進展挙動を3次元で詳細に再現し,その3次元幾何形状を3Dプリンタを用いて立体的に造形化する方法を提案する.物理シミュレーションには,破壊力学に基づく損傷モデルを用いて,著者らが既往の研究で開発した手法を用いる.本研究の新規性および可視化の特徴は,空気の部分に当たるひび割れを立体的に具現化し,通常は見えない部材内部のひび割れ進展挙動まで3次元で詳細に造形化する点にある. 第2節では,本研究で用いる物理シミュレーションの定式化について示す.第3節では,鉄筋コンクリートの引張と曲げに関する問題を対象に,部材内部および鉄筋まわりに進展するひび割れを再現し,3Dプリンタを用いてひび割れの3次元幾何形状を造形化した例を示す.最後に,本研究の総括を行い,課題と今後の予定について述べる.
著者
相馬 悠人 車谷 麻緒
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00256, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
25

本論文では,既往の研究で著者らが構築した鉄筋コンクリートの破壊シミュレーション手法の妥当性および適用性を検証するため,鉄筋とコンクリート間の付着挙動を対象とし,実験結果と解析結果を比較した.付着性能の異なる丸鋼と異形鉄筋の引抜き試験を実施し,実験結果と解析結果を比較した結果,構成モデルや材料パラメータを変えることなく,鉄筋の幾何形状のモデル化を変えるだけで,それぞれの付着挙動を精度よく再現できることを示した.さらに,軸方向鉄筋に丸鋼および異形鉄筋を用いたRCはりの4点曲げ試験を実施し,実験結果と解析結果を比較することで,せん断破壊と曲げ破壊の異なる破壊モードを再現できることや,鉄筋周りの応力状態が異なる試験条件下においても鉄筋の付着挙動を再現できることを示した.
著者
車谷 麻緒 寺田 賢二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_129-I_138, 2012 (Released:2014-01-31)
参考文献数
16

This paper focuses on approximation properties for strong/weak discontinuities in the PU-based finite element methods. The extended finite element method (X-FEM), which is one of the PU-based FEM, enables us to approximate the discontinuous deformation due to crack/interface with the enrichment functions. In contrast, the finite cover method (FCM), which is also one of the PU-based FEM, is capable of representing discontinuous behavior by defining the multiple sets of finite covers (elements) instead of using the enrichment functions. We examine the properties and the effects of these different PU-based approximations for strong/weak discontinuities in this paper. Section 2 shows two types of approximations of strong/weak discontinuities in the PU-based FEM by taking X-FEM and FCM for instance, and explains the equivalence of them. Several numerical examples are presented to examine the analysis accuracy and effi ciency for structures involving a line crack, a branched crack and a material interface in Section 3.
著者
車谷 麻緒 安藏 尚 相馬 悠人 岡崎 慎一郎
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.20190007, 2019-05-31 (Released:2019-05-31)
参考文献数
24

本論文では,損傷モデルを用いて,鉄筋コンクリート部材における腐食ひび割れ進展挙動を再現するためのモデル化を示し,2次元問題と3次元問題において,提案手法の妥当性および有効性を検証した.鉄筋の腐食膨張によって,コンクリートが押し出される挙動とひび割れが進展する挙動の両方を再現するために,損傷モデルにおいて,鉄筋の膨張方向の剛性を低下させないモデル化を導入した.2次元問題において,等方性の損傷モデルを適用した解析結果と比較することにより,腐食膨張する方向の剛性を低下させないモデル化の妥当性を検証した.3次元問題における検証例題では,既往の実験結果と同様のひび割れ進展挙動を再現することができ,また四面体要素を用いた詳細な3次元シミュレーションにも適用可能であることを示した.