著者
轡田 康 広瀬 貞樹 蜷川 繁 木村 春彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-1, 情報・システム 1-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.909-918, 2000-09-25
参考文献数
14
被引用文献数
2

雪の結晶が成長していく様子をシミュレーションする研究は既に行われているが, ラプラス方程式の数値計算によるもの〔1〕〜〔6〕やDLA(Diffusion-Limited Aggregation)法によるもの〔7〕, 〔8〕がほとんどである.Packard〔9〕は, 六角格子上の2次元セルオートマトンを定義し, それを用いて雪の結晶の類似パターンの生成を試みた.これまでの数値解析によるものに比べて非常に単純なモデルではあるが, 角板と呼ばれている結晶の類似パターンの生成に成功した.しかしPackardのモデルでは, 例えば六角形の角から樹枝状に成長していく樹枝状六花や広幅六花, 扇状六花と呼ばれている複雑な形をした結晶の類似パターンの生成には成功しなかった.本論文ではPackardのモデルを拡張し, Packardのモデルではできなかった樹枝状六花, 広幅六花, 扇状六花等の類似パターンの生成を試みる.