著者
辻 啓子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.751-758, 1988

65 歳以上の高齢者の外出時の着衣状況を夏, 冬の 2 期について調査し, 下着および中衣を中心に分析した結果は, 次のように要約することができる.<BR>1) 着衣枚数は, 夏は, 男女ともに 「 2-3 」 の組合せの者が最も多く 60% を占めた. 冬は, 男子は「4-3」の組合せの者が 45%, 「 5-3 」の組合せの者が 28% で, 上衣の着衣枚数のほうが多かった.女子は男子に比し着衣枚数の組合せ別出現の範囲が大きく, とくに和服形式にその傾向は顕著であった.<BR>2) 男子の下着は, 夏は, 上衣は半袖シャツの着用者が 55%, ランニングシャツの着用者が 29%, 下衣は下ばきとしてさるまた・パンツ類の着用者が 85%, ブリーフの着用者が 11% であった, また, ロングパンツは84% の者に着用されていた.冬は, 長袖シャツ 1 枚の着用者が 64%, 長袖シャツ 2 枚の着用者が 21% で, 下衣は下ばきの上にズボン下またはタイツを着用している者が 97% あった.<BR>3) 女子の下着は, 夏は, 上衣はシュミーズ類を着用している者が最も多く 66% を占めた. 下衣は下ばきとしてズロース・ショーツ類の着用者が 49%, パンティの着用者が 18%, 3 ・ 5 分ショーツの着用者が 11% であった.また, 下ばきと最外衣の間にはシュミーズ, スリップ, ペティコート等を 93% の者が着用していた.<BR>冬は, 着衣形式によって異なるが, 上衣は, 和・洋ともに長袖シャツを着用している者が多かった.下衣は, 下ばきの上にズボン下, タイツ, パソティストッキング, 5 分ショーツ等を保温のための被服として着用していた.<BR>4) 防寒のための中衣としては, 男子はセーター・カーディガン類, ベスト類が多く, 着衣枚数の多い場合はそれらが互いに組み合わされて着用されていた. 女子は, 洋服着用者はセーター・カーディガン類, 和服着用者は半じゅばん, 長じゅばん, 袖なし半てんを着用していた.<BR>5) 提示した下着の要求項目を配慮していると回答した者は少なく, とくに男子は各項目とも 10% に満たなかった. 項目別では, 「 素材・品質」, 「 フィット性・ゆとり量」は夏, 冬ともに出現率は高いが, 季節別では, 夏は 「 べとつき感」, 「着脱のしやすさ」, 冬は, 「 軽さ」の出現率が高かった.
著者
辻 啓子 伊藤 きよ子 西條 セツ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.622-630, 1979

背にヨークをつけ, ギャザリングする場合をとりあげ, ギャザー分量, 長さの変化にともなう外観効果のちがいを, 裾のひろがり寸法, ヘム曲線の形状から検討した結果, 次のように要約することができる.<BR>1) 裾のひろがり寸法ならびにヘム曲線の形状は, 素材物性特にcover factor, 曲げ剛性, せん断剛性, ドレープ係数, 伸長弾性率, 布重量の影響を受ける.すなわちcover factorの大きい, 曲げ剛性, せん断剛性, ドレープ係数の小さい素材は裾のひろがり寸法は小さく, ヘム曲線のノード数は多く, その形状は均一で美しいドレープを呈する.また伸長弾性率の小さい素材はふくらみのあるドレープのたれ下がりを生じない.<BR>2) ギャザー分量が増加すると, 裾のひろがり寸法, ヘム曲線のノード数は増加するが, 布重量の大きい素材はギャザー分量が2.25倍になると, 自重により裾のひろがり寸法は小さくなる.<BR>3) ドレーパリの長さの差によるヘム曲線の形状は, 45cmと55cmの間には大差はみられないが, 90cmではノード数は約70%減少し, ノードの振幅は前者の約1.5倍となり, 同一ギャザー分量でも長さが変化すると外観効果は異なる.また布重量の大きい素材は長さが大になると, 裾のひろがりは自重により小さくなる.