著者
伊藤 きよ子 日下部 信幸
出版者
東海学園女子短期大学
雑誌
東海学園女子短期大学紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
no.36, pp.95-101, 2000-12

紙を用いて色と幅の異なる2色配色のストライプ柄の試料36種類を作成し, 無地の試料と比較したときのイメージ差について検討した。その結果は以下のようである。ユ)ストライプ柄のイメージは明瞭・活動の因子, 評価の因子, 感覚の因子, 明るさの因子の4因子で表される。2)ストライプ柄の試料は, 色の明度が低いものほど, 無地の試料に比較し「強い, はっきりした, 活動的な, 派手な, 大胆な, かたい, 個性的な」イメージと評価され, 明度が高くなるほど無地とのイメージ差は小さくなる。3)評価の因子負荷量が高い「好き, 快, 美しい」の用語は, 色相の違いにより有意差の認められやすい用語であり, 赤系より青系のストライプ柄のほうが, 無地の試料より「好き, 快, 美しい」という評価がやや高い。4)「繊細な-大胆な」「痩せた-太った」の用語は, ストライプ幅の違いにより無地とのイメージ差が異なりやすい用語である。5)明瞭・活動の因子負荷量が高い用語では, ストライプ幅1.Ocm以下と1.5cm以上との間でイメージ差が表れやすい。以上, 無地の試料と比較することによりストライプ柄のイメージを検討してきたが, 今回は試料として紙を用いており, 衣服にみられる立体感や材質感は考慮されていない。これを今後の検討課題とし, さらに研究を積み重ねていく必要があると考える。
著者
辻 啓子 伊藤 きよ子 西條 セツ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.622-630, 1979

背にヨークをつけ, ギャザリングする場合をとりあげ, ギャザー分量, 長さの変化にともなう外観効果のちがいを, 裾のひろがり寸法, ヘム曲線の形状から検討した結果, 次のように要約することができる.<BR>1) 裾のひろがり寸法ならびにヘム曲線の形状は, 素材物性特にcover factor, 曲げ剛性, せん断剛性, ドレープ係数, 伸長弾性率, 布重量の影響を受ける.すなわちcover factorの大きい, 曲げ剛性, せん断剛性, ドレープ係数の小さい素材は裾のひろがり寸法は小さく, ヘム曲線のノード数は多く, その形状は均一で美しいドレープを呈する.また伸長弾性率の小さい素材はふくらみのあるドレープのたれ下がりを生じない.<BR>2) ギャザー分量が増加すると, 裾のひろがり寸法, ヘム曲線のノード数は増加するが, 布重量の大きい素材はギャザー分量が2.25倍になると, 自重により裾のひろがり寸法は小さくなる.<BR>3) ドレーパリの長さの差によるヘム曲線の形状は, 45cmと55cmの間には大差はみられないが, 90cmではノード数は約70%減少し, ノードの振幅は前者の約1.5倍となり, 同一ギャザー分量でも長さが変化すると外観効果は異なる.また布重量の大きい素材は長さが大になると, 裾のひろがりは自重により小さくなる.
著者
伊藤 きよ子 日下部 信幸
出版者
東海学園大学
雑誌
紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.39-48, 1993-09-01

24種類のフレアースカートを揺動させて官能検査を実施し, 揺動量および材料特性, フレアー分量との関係を検討した。その結果を要約すると, 次のようである。1)SD法によるイメージ評価をフレアー分量間で比較すると, 「すっきりした」「歩きやすそうな」を除く9種類のイメージ評価は, フレアー分量の大きいF_1が高く, フレアー分量の小さいF3は低い傾向にある。2)F_2は試料によりイメージ評価の差が大きい。3)「若々しい」「すっきりした」を除く9種類のイメージ用語は, いずれもフレアースカートの揺動美を表現する用語であり, 「美しい」という用語に置き換えることが可能である。4)ドレープ係数, 剛軟度, せん断剛性G, せん断ヒステリシス2HGおよび2HG5の各物性と揺動量は, 揺動美を表現するイメージ用語と関わりがあり, 各物性値が小さく, 揺動量の大きいフレアースカートは美的官能評価が高い。5)一対比較法による美しさと揺れやすさの官能評価では, 柔軟な試料であるポリエステルジョーゼット, ウールサージの評価が高く, かたい試料であるハードデニム, ソフトデニム, フラノの評価は低い。