著者
辻井 岳雄 山本 絵里子 渡辺 茂
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-48, 2008-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
40

抗ヒスタミン薬は, アレルギー疾患の治療薬として広く臨床で用いられる薬物であるが, 旧世代の抗ヒスタミン薬 (例 : ケトチフェン) は, 眠気・ふらつき・認知パフォーマンスの低下などの副作用を招くことが指摘されてきた。一方, 新世代の抗ヒスタミン薬 (例 : エピナスチン) は, 抗アレルギー作用が強く, かつ中枢神経の抑制作用が低いことが知られている。本論文は, 記憶認知とその神経相関に及ぼす抗ヒスタミン効果について, 近赤外分光法 (NIRS : near-infrared spectroscopy) を用いた最新の研究成果を紹介し, 特に小児神経薬理学の分野におけるこの手法の有効性について議論した。
著者
酒谷 薫 岡本 雅子 小林 寛道 辻井 岳雄
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代社会に蔓延するストレスは、様々な疾患の主要原因の一つである。本研究では、近赤外分光法(NIRS)を用いて、前頭前野の神経活動を計測し、自律神経系・内分泌系機能及び心理状態とともに、ストレスを客観的に評価する方法を開発した。さらに本法を用いて、中高齢者における運動療法のストレス緩和効果について検討し、軽い運動でもストレス緩和効果があることを明らかにした。さらに高齢者に軽い運動を負荷することにより、前頭前野のワーキングメモリー課題に対する反応性が上昇し、パフォーマンスが向上することが示唆された。本ストレス評価法と運動療法を組み合わせることにより、ストレス性疾患を予防できる可能性がある。