著者
西口 敏宏 辻田 素子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.4-15, 2017-03-20 (Released:2017-09-11)
参考文献数
38

境界とメンバーシップが明確なコミュニティーの営為を分析する概念として,多義的なソーシャル・キャピタルでは不十分である.本稿は,繁栄する温州人企業家やトヨタサプライチェーンの事例から,より限定的な中位の概念として「コミュニティー・キャピタル」を提唱する.機能するコミュニティーでは,成員への成功体験の「刷り込み」によって「同一尺度の信頼」が派生し,面識のない成員でさえ協力しあう「準紐帯」が醸成される.
著者
西口 敏宏 辻田 素子 辻田 素子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

自己組織化するトヨタ自動車のサプライチェーン、繁栄する中国・温州の「外出人」ネットワーク、さらに近年各地で成果を上げている「部門(機能)横断型プロジェクトチーム」などを、最新のスモールワールド・ネットワーク理論の枠組みで分析し、「遠距離交際」と「近所づきあい」の絶妙なバランスを有する頑健なシステムを構築した企業や地域が繁栄していることを明らかにした。理論家の描いた世界をはるかに超える複雑な現実社会について、豊富なオリジナルデータをもとに、「信頼」や「ソーシャル・キャピタル」の効用についても指摘した。