- 著者
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辻野 泰之
- 出版者
- 一般社団法人 日本地質学会
- 雑誌
- 地質学雑誌 (ISSN:00167630)
- 巻号頁・発行日
- vol.115, no.3, pp.122-129, 2009-03-15 (Released:2009-08-07)
- 参考文献数
- 33
- 被引用文献数
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北海道古丹別地域に分布する蝦夷層群最上部を函淵層に帰属させた.この層準は砂岩優勢の砂岩泥岩互層で構成され,ハンモック状斜交層理が発達する.本研究では,古丹別地域の函淵層からいくつかのアンモノイド類やイノセラムス類を産出したものの,時代決定に有効な大型化石は得られなかった.しかしながら,古丹別および羽幌地域の羽幌川層最上部からは,下部カンパニアン中部-上部を示すSphenoceramus orientalisやS. schmidtiが報告されており,古丹別地域の函淵層はS. orientalis−S. schmidti帯の最下部に対応すると考えられる.さらに函淵層が,古丹別地域で確認されたこと,また羽幌地域や達布地域の羽幌川層最上部においても,すでに上方粗粒化の傾向が見られることは,羽幌-古丹別-達布地域の広域において函淵層が堆積していた可能性を示す.