著者
山田 量崇
出版者
徳島県立博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

外傷性受精に関わる雌雄交尾器の機能と構造を把握し,得られた系統仮説に基づいて外傷性受精の進化を考察した.副交尾器の各器官の形質状態は,概ね従来の族のまとまりを支持した.雌のmesospermalege(精子の貯蔵器官)は,族レベルでさまざまな程度に変化していた.分子系統樹上の族間の系統関係は,形態では共通の祖先に由来することが強く示唆されてきたハナカメムシ族とホソナガハナカメムシ族がかなり遠縁のクレードに分かれるなど,一部形態情報と一致しなかった.
著者
山田 量崇 Weirauch Christiane 蔡 經甫
出版者
徳島県立博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ムクゲカメムシ下目の主要3科(ムクゲカメムシ科、オオムクゲカメムシ科、ノミカメムシ科)に対し、飼育実験系を確立し、交尾行動の観察を行った。3科ともメスの右側方からオスの腹部が挿入されて接合するオス上位の姿勢が観察された。ムクゲカメムシ科の交尾ペアの形態観察から、オスの腹部付属片の機能について検証した。第3~8腹節の付属片(側背板)がメスの腹部後方を背腹面に挟むように把握することがわかった。メス側には、把握される部位(背板の一部)がやや厚くなるなどの形態の変化が見られた。科ごとにオスの腹部第8側背板の機能が異なっていた。
著者
磯本 宏紀
出版者
徳島県立博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、近現代の移住漁民集団の移動と定住について、アワ船団、遠洋カツオ・マグロ船団,潜水器漁民集団、一本釣り漁民集団の4つの漁民集団に属する漁民に着目して、その実態を明らかにし、それぞれの漁民集団の比較研究を行うことを目的としている。平成29年度には、次のとおり現地調査及びアンケート調査を行い、調査データを得た。①4月から6月にかけて、以西底曳網漁業の船員経験者に対するアンケート調査を長崎市及び福岡市において実施した。28年度に計画していたものであるが、29年度に実施することができた。あわせて、データの集計、分析についても行った。②5月には福岡市において以西底曳網漁業(アワ船団)の経験者を対象に聞き取り調査を実施した。また、以西底曳網漁船の漁労長による漁撈日誌に関する調査も行った。③12月には以西底曳網漁業を行っていた福岡市の水産加工会社において、社史編さん事業等に使用された以西底曳網漁業に関する文献調査を行った。④12月には以西底曳網漁業の関係者が同郷者集団として実施している長崎市における阿波踊りに関する聞き取り調査を実施した。唐津市では一本釣り漁民等として鳴門市堂浦から移住した漁民を対象として聞き取り調査を実施した。なお、本研究の成果について、『生活文化研究』(大韓民国国立民俗学博物館)『徳島地域文化研究』(徳島地域文化研究会)誌上に論文等2本を執筆し、9月にソウル市で、10月に徳島市で、3月に佐倉市で口頭発表等3回行った。
著者
辻野 泰之
出版者
徳島県立博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

タイプ標本は、種を定義する上で基礎的な資料であり、学術的に重要である。しかしながら、日本の古生物学分野において、タイプ標本の所有者や保管場所の情報は、記載論文以降、更新されていない。その後、タイプ標本が行方不明になったケースや、収蔵場所が変更になったケースも少なくない。また、タイプ標本の観察は、主に分類学において不可欠であるが、タイプ標本の閲覧が容易でないため、若手研究者が分類学を敬遠する原因にもなっている。そこで本研究は,日本産白亜紀アンモナイトを例に古生物タイプ標本の所在を確認するとともに、3Dスキャニングを行い、タイプ標本の3Dデジタルデータベースの構築を試みた。