著者
辻野 泰之 石田 啓祐 和田 秀実 平山 正則
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.12, pp.680-685, 2010 (Released:2011-04-09)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

徳島県牟岐町楠之浦地域に分布する四万十帯牟岐メランジュ下部セクションより,後期白亜紀アンモナイトを発見した.このアンモナイトは,ロシア・サハリン南部マカロフ地域のクラスノヤルカ層の岩相ユニットK2(マストリヒチアン階)から報告されたGaudryceras cf. tombetsenseに最も似ている.最近のジルコンU-Pb年代に関する研究に従うと,牟岐メランジュ下部セクションの年代は古第三紀初頭を示す.現時点では,楠之浦地域から発見された後期白亜紀アンモナイトは,古第三紀堆積物である牟岐メランジュ下部セクションの中に外来岩塊として含まれたと考えるのが妥当である.
著者
小松 俊文 四宮 義昭 石田 啓祐
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.73, pp.61-63, 2003-03-20
被引用文献数
1

2時間ちょっと.四国がこんなに近いことが信じられなかった.京都で10時のバスに乗り, 淡路島を経由して鳴門に着いたのが12時半.確かに時刻表どおり.しかし, 本当に2時間そこそこで着いてしまうとは….以前, 徳島を訪ねた時は, JRで瀬戸大橋を渡り, 初日は移動日で翌日からが化石採集.徳島の化石産地を訪ねるのは, それなりの準備と覚悟が必要だった.ところが, 今では京都・大阪在住の化石愛好家にとって, 車さえあれば十分日帰りの地域になっている.徳島県には白亜系の地層が広く分布する.勝浦盆地周辺にはアンモナイトや二枚貝, 植物化石などを豊富に産出する主に白亜系下部の堆積物が広がり(沼野・中野, 1964;Nakai and Matsumoto, 1968;小川, 1971;前田他, 1987;松川・江藤, 1987;石田・橋本, 1991;石田ほか, 1992), 瀬戸内周辺には, 白亜系上部の和泉層群が露出する.また, 古生代や中生代三畳紀, ジュラ紀の化石を含む地層もあり, 化石の種類や産出量は申し分ない.多くの化石愛好家が育つのはあたり前の環境である.今回, 著者の一人である小松は勝浦盆地の傍示(ぼうじ)層・藤川層の化石産地を案内してもらう目的で, 徳島化石同好会の方々にお会いした.なお, この記事はその時の体験にもとづいて記されている.